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2013年12月 7日 (土)

特定秘密保護法成立の後で/花づな列島復興のためのメモ(278)

昨夜遅く、特定秘密保護法が参院本会議で、自民、公明両与党の賛成多数により可決、成立した。
私はこの国の将来に対して深く憂慮するが、これでおしまいと言うわけでは決してないだろう。
安倍政権は、多少強引な手法であっても、3年後に想定される衆参同時選までは政権は安泰であり、その頃になれば大方の国民は目の前の問題に引き寄せられて、過去のことなど忘れているだろう、と読んでいると思われる。
確かにわれわれは、直近のテーマに心を奪われがちではある。
しかし、ここは多少引いた視点で俯瞰的に考えてみることも必要だろう。

わが国は、明治維新によって近代化のスタートを切ると、基本的には富国強兵路線により、欧米列強との競合関係に対処してきた。
その帰結が、大東亜戦争(太平洋戦争も含む)であった。
その過程で、情報統制が大きな役割を果たしたことは否定できないことであろう。
たとえば、昭和6(1931)年の満州事変の発端になった柳条湖事件について、当時の日本国民は、情報がコントロールされていたため、中国軍が満鉄を爆破したと信じた。
現在は石原莞爾らが柳条湖で南満州鉄道を爆破し、これを中国軍の仕業とする謀略により起こしたもの、という見方が定着しているといっていいだろう。
⇒2012年10月 1日 (月):「満州事変」をひき起こしたのは誰か/満州「国」論(3)

もちろん、元自衛隊航空幕僚長・田母神俊雄氏のように異論の持ち主もいるが、異端であろう。
私は基本的には異端の見解を好むものであるが、根拠となる史実自体は尊重したい。
⇒2012年9月18日 (火):柳条湖事件から81年、拡大する反日デモの行方/満州「国」論(2)

あるいは、1925年に成立した「治安維持法」である。
共産主義者を取り締まるために制定された法律だったが、共産主義が壊滅した後は、次第に拡大解釈され宗教団体や、右翼活動、自由主義等、あるいは芸術の分野まで対象になった。
第1次安倍政権の時、安倍首相は、「戦後レジーム」からの脱却」を政策の中心に据えていた。
⇒2007年8月12日 (日):戦後レジームについて
戦後レジームと対照されるのは何か?
1つは戦前・戦中レジームであろう。
⇒2007年8月13日 (月):戦中レジームの一断面

戦前・戦中レジームを象徴するものが「治安維持法」ではないか?
一度成立した法律が恣意的に拡大されることは、たとえば新興俳句弾圧事件を見ればいい。
⇒2007年10月26日 (金):新興俳句弾圧事件…①全体像
この法律の恣意的な運用は、たとえば五木寛之氏が新興俳句弾圧事件をテーマにした読み物にも描かれている。
⇒2007年11月 2日 (金):『さかしまに』

要するに、どうということのない片言隻句が、解釈次第で危険と見なされうるのである。
そして、治安維持法の被疑者の弁護士を弾圧し、朝鮮半島など植民地の民族独立運動の弾圧にまで用いられた。
要するに、言論弾圧による権力の暴走を止められなかったことが、敗戦に至る大きな要因だったと考えられる。

都合の悪い情報は秘匿しようとするのが権力の常である。
自民党の旧態依然たる政治に愛想を尽かして実現した民主党政権においても同じことであった。
パニックを回避するという名目で、福島第一原発事故におけるSPEEDIの予測情報を秘匿したことは、民主党政権の拭えぬ汚点である。
⇒2011年5月27日 (金):情報の秘匿によりパニックは回避されたのか?/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(37)

特定秘密保護法は成立した。
しかし、情報をめぐるジャーナリズムと国民の戦いは、これからが正念場とも言える。
われわれは歴史を繰り返してはならない。
1度目は悲劇であったが、繰り返すならば喜劇になるであろうことは、マルクス言葉として知られている。
⇒2013年11月16日 (土):情報の公正な保秘と公開/花づな列島復興のためのメモ(272)

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