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2013年12月 5日 (木)

張成沢北朝鮮国防委副委員長失脚か?/世界史の動向(4)

韓国筋の伝えるところでは、金正恩第1書記の叔父である張成沢国防委員会副委員長が失脚したらしい。

 韓国の情報機関、国家情報院は3日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の叔父で、朝鮮労働党行政部長など要職を務める張成沢(チャン・ソンテク)・国防委副委員長の側近2人が公開処刑され、張氏自身もすべての役職を解かれて失脚した可能性が高いと国会情報委員会所属の野党議員に報告した。
 国情院によると、公開処刑されたのは党行政部で張氏の直属の部下であるリ・リョンハ第1副部長と、チャン・スギル副部長。
 2人は11月下旬、党に反対する不正行為の容疑で公開処刑されたことが確認され、その後、張氏の行方も分からなくなっているという。一方、張氏の妻で金正日総書記の実妹、金敬姫(キム・ギョンヒ)・朝鮮労働党政治局員の動静については確認できていないという。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131203/kor13120317320004-n1.htm

ベールに包まれた中での話なので実態は不明だが、どう見るか?
北朝鮮は独裁権力を世襲によって継承しているが、世襲すなわち血統は、もっともベーシックな近親性であろうが、「近親憎悪」という言葉があるように、反転すると激しい対立の要因になる可能性があるから、常に危うさを秘めたものとなる。

日本も、敗戦までは天皇制という独裁権力の世襲であったが、独裁権力であったのは明治維新後であって、日本史を通じては、権力と権威の棲み分けという方が常態であったといえよう。
⇒2010年9月29日 (水):北朝鮮の権力承継
⇒2010年9月30日 (木):権力の世襲と権威の世襲/「同じ」と「違う」(15)

金正恩第1書記の系図は下図のようである。
Photo
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013120300681

つまり張成沢氏は、金日成の娘婿である。
金日成の威光は絶大であって、張氏が生き残ってきたのはこの血統の故であろう。 
張氏は党の政治局員などを兼務し、2011年の金正日総書記死去後は金第1書記の「後見役」という位置づけだった。

張成沢-Wikipediaには以下のような記述がある。

金正日の側近中の側近として権勢を振るっていたが、2003年10月より以後、消息報道が長期間途絶える。ほどなく2004年2月頃には、分派活動を疑われて失脚したという情報も飛び交ったものの、2006年1月29日の朝鮮中央通信の報道で復権したことが判明。
・・・・・・
2008年8月末頃、交通事故で重傷を負ったとの情報がある。これについては、正男を推す張をはじめとする勢力と、次男の金正哲を推す(もしくは自分たちが権力を掌握しようとする)軍部との間の権力争いとの見方がある。
・・・・・・
2010年6月7日、国防委員会副委員長に選出。ナンバー2の地位を得る。これについては、金正恩を後継者にするための布石と言う見方と、正恩を後継者にすることを諦め、張自身を北朝鮮の次期最高指導者にするため、という2つの見方があった。
同年9月28日、第3回党代表者会議をうけて開催された中央委員会総会で政治局員候補に昇進。同時に金正恩も党中央軍事委員会副委員長に推挙され、これにより金正恩の後継者としての地位がほぼ確定した。
2011年12月17日に金正日が死亡し、葬儀委員会の名簿には19位に名を連ねた(妻は14位)。当面の間は若い金正恩を張ら後見人がバックアップする体制が取られるものとみられている。
2012年4月11日の第4回朝鮮労働党代表者会で、朝鮮労働党政治局員候補から政治局員に昇格した。

非民主主義国特有の波乱に富んでいるが、幾たびかピンチをしのいできた歴戦のしたたかな男ということであろう。
失脚の原因について、金正恩体制発足に伴い、張氏の力添えで事実上のナンバー3に昇格させた側近の崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮人民軍総政治局長との間で権力闘争が発生し、これに張氏が敗北した可能性があるといわれる。
軍に足場を持たない崔氏が、軍の支持を得るため軍の主張を代弁しているという見方である。
あるいは、金正恩が自らの絶対的権力の護持のために、目の上のコブの事実上のナンバー2の張を排除した可能性も言われている。

張氏は中国とのパイプ役だったという。
しかし、今年の5月には崔氏が訪中し、昨年の張氏の訪中のときよりも、朝鮮労働党の機関紙の扱いは大きかったという。
党と軍の関係に何らかの変動があったのであろうか?

張氏の失脚が、1崔氏との争いの結果だとすると、軍が党のコントロールを超えて動いているという見方もできる。
そしてそれは、中国の権力構造の変化と連動したものではないか、とされる。
中国が東シナ海上空に、突然一方的に設定した防空識別圏は、軍が党のコントロールを超えて暴走したものであり、それが北朝鮮の権力構造に反映しているという見方である。

張失脚の背後にこうした事情を想定すると、安倍政権が、国家安全保障会議の設立を急ぎ、特定秘密保護法案をごり押しするのも、腑に落ちてくるところである。
しかし、外因に気をとられて内部の状況判断を誤ると、将来に禍根を残すことになるのは昭和前期の歴史が教えるところではなかろうか。

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