輸出企業に優しい税制改革/アベノミクスの危うさ(23)
自民、公明両党が、12日、2014年度の与党税制改正大綱を決めた。
来年4月からの消費税率アップに関連して、さまざまな改正が盛り込まれているが、総じていえば消費者よりも輸出大企業の方を向いていることは否めない。
もちろん輸出大企業が潤うことによって恩恵を享受する人も数多いだろうが、消費者・生活者全般から見れば少数である。
それにしても、公明党の自民党との一体化ぶりは如何なものか?
参院選後、公明党のアイデンティティといったものが全く感じられない。
特定秘密保護法案にしろ、税制改革大綱にしろ、安倍政権と同化してしまっている。
今回の改正を象徴するものが自動車税であろう。
軽自動車の所有者が毎年市町村に納める「軽自動車税」について、自家用軽乗用車は現在の7,200円から1.5倍となる1万800円に引き上げることが税制改正大綱に盛り込まれた。
これなどは、東京中心の発想であると同時に、国内市場よりも輸出に目を向けたものといえる。
東京新聞12月13日
軽自動車は、近年著しく性能も居住性も向上して、小型車との差異は小さくなってきている。
一方で、1,000cc以下の自動車に課せられる自動車税は2万9,500円/年であるから、軽自動車とは税金の面でかなりの違いがあった。
その幅を縮小しようということであり、一面の理屈ではあるが、地方の生活の実態からすればそれこそ生活必需品の増税である。
生活必需品については、消費税の軽減税率適用の問題も議論されたが、「社会保障と税の一体改革の原点にたって、必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得たうえで」との条件を付した上で、「税率10%時に導入する」ことで合意した。
さらに導入に向けて「社会保障を含む財政上の課題と合わせ、対象品目の選定、区分経理などのための制度整備、具体的な安定財源の手当て、国民の理解を得るためのプロセスなど、軽減税率制度の導入にかかる詳細な内容について検討し、14年12月までに結論を得る」とし、その結果については「与党税制改正大綱として決定する」と明記した。
10%にいつなるかは、現時点では不明であり、まあ先送りということであろう。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013121302000119.html
忘年会シーズンであり、アベノミクス効果か今年は会場を押さえるのが大変だともいう。
実体経済が良くなっている実感はないが、良くなっているとすれば結構なことである。
しかし、素人目にも、消費税率アップの影響は目に見えて出てくるであろう。
負担が先行するのでは、消費マインドは冷え込むだろうからだ。
野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問] は、ダイヤモンドオンライン誌12月12日号で次のように書いている。
12月9日に発表された2013年7-9月期のGDP(国内総生産)速報(2次速報値)では、実質GDPの対前期比増加率(季節調整済み)が、0.5%から0.3%へとかなり大きく下方修正された(年率換算値では、1.9%から1.1%に)。この大きな原因は、1次推計で0.2%とされていた民間企業設備の前期比が、0.0%に下方改定されたことだ。日本経済に「好循環」は生じていないことが、はっきりと示された。
安倍首相は、GDP(国内総生産)速報を見て、消費税増税を決断したのではなかったか。
余りに短期的視点で捉えると、道を誤ることになる。
木を見て、森も見て、判断しなければならないはずであるが。
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