個人線量計を用いた被曝線量の測定/原発事故の真相(101)
政府が、東京電力福島第一原発事故の復興指針で、空間線量を基に住民の被ばく線量を推定する方法から、個人に線量計を渡して実測する方法に改めることを決めた。
線量を正確に把握することには賛成である。
理論的には、空間線量よりも個人線量の方が、より細やかに測定できるだろう。
しかし、これが「被ばく基準の実質的な緩和」になるとしたら、新たなリスクを生じさせることになる。
⇒2013年11月23日 (土):被曝基準の実質緩和/原発事故の真相(94)
伊達市の年齢別年間被ばく線量に関して、下図のようなデータがある。
http://togetter.com/li/595572
「子どもは学校など放射線量が低い所で生活する時間が長く被ばく線量も低くなったのではないか」と見られる。
とすれば、確かに生活時間の実態を反映すべきだという考え方も一理ある。
しかし、東京新聞12月23日掲載に記事によれば、個人線量計の測定値にもとんだ「落とし穴」がある危険性があることが分かった。
同紙が被曝線量にばらつきの少ない伊達市月館町で住民にヒアリング調査をしたところ、線量計が居間や廊下の壁に吊るされたままになっているケースが多いのが実態だった。
常時持ち歩いているのはわずかに17%に過ぎなかった。
農家の女性は、「農作業の邪魔になるし、なくして弁償させられたら困るから」と言っている。
屋内の線量は屋外よりも低い。
これでは危険側に値がずれることになる。
福島原発後に菅政権は、福島県内で子どもたちが学校で安全に過ごすための放射線量の限度について「年間20ミリシーベルト未満」という目安を発表した。
これは従来の1ミリシーベルト/年の20倍であり、内閣参与を務めていた小佐古敏荘・東京大学大学院教授(放射線安全学)が、「行き当たりばったり」の破綻した政策だとして、参与の職を辞任し、抗議の声明を発したことがある。
⇒2011年4月30日 (土):小佐古・内閣官房参与が辞任/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(19)
「放射線は浴びないのに越したことはない」のである。
避難指示区域への住民帰還の目安となる線量は、民主党政権時代に「20ミリシーベルト/年以下」とし、これを除染によって、1ミリシーベルト/年以下にすると定められた。
個人線量計による測定には次のような批判がある。
福島原発事故の避難民帰還を迎えて法定の線量限度年間1mSvが曖昧にされようとしています。マスメディアは政府の設けた土俵で議論し、個人線量計を付けさせた帰還が法の保証が無いモルモットと見えないのです。線量計を1年間着用して例えば1mSvに収まったらそれでオーケーとの発想がそもそも異様です。線量計を付けるのは職業人の被曝対策であり、一般公衆の線量限度は普通に生活して十分クリアする環境を放射線障害防止法が整えていると解すべきです。そうでない環境に帰還させるならば、現行法体系が適用されない場所であると明確に説明すべきです。年間20mSv以下になったら帰還させる政府方針は完全に一国二制度なのです。どうしても帰りたい人はリスクを知った上で帰るしかありませんし、帰らないで移住する権利もあるとはっきり言わねばなりません。
http://blogos.com/article/74379/
ポリマスターという会社が、iPhoneやiPadに装着する放射線測定器「POLISMART II PM1904」を日本国内で発売している。
「POLISMART II PM1904」は、ガイガーミュラー計数管を搭載した放射線測定器で、主にガンマ線を測定し、計測器本体は常に環境放射線・積算線量を測定、 iPhoneと接続することで検知器のデータをiPhone内に転送すると同時に、iPhoneの画面をガンマ線当線量率、積算線量率 のディスプレイとして使うことができる。アプリは無料で提供されている。
http://ascii.jp/elem/000/000/849/849646/
何かがオカシイと思うべきだろう。
iPhoneやiPadで放射線測定をするなんて。
個人線量計の使用実態をよく確認しないで、「空間線量が高くても年間被ばく量は少ない」という主張にこのデータが使われ、避難住民に早期帰還をせかすとしたら、そして政府の狙いはそこにあると思われるが、危険なことである。
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