情報の公正な保秘と公開/花づな列島復興のためのメモ(272)
情報については、常に保秘と公開が議論の的になる。
株式市場におけるタイムリー・ディスクロージャー(企業等が何らかの重要な活動を実施することを決定した、あるいは何らかの重要な事象が生じた際に適宜行われる情報開示)はその代表例であろう。
今国会で政府が成立を目指している特定秘密保護法案も、保秘と公開の基準を巡って論議されている。
保秘の対象となる情報の基準。
保秘すべき情報を漏洩した場合の処罰範囲。
保秘の期限。
・・・・・・
問題は、特定機密保護法案が、日本版NSCと称される国家安全保障会議の創設と一体のものとされている点であろう。
国家安全保障会議は、先の総選挙において、自民党の公約に設置が謳われていたから、結果的には国民の選択だったということになる。
また、民主党も「「防衛計画の大綱」見直しに関する提言」において、国家安全保障室(NSO)創設を提言しているほか、国家安全保障会議(日本版NSC)創設を提言している。
各国の状況を見ても、何らかの安全保障組織は必要だとは思う。
しかし安倍政権は、アメリカとの軍事的な同盟体制において、保秘の体制がしっかりしていないと・・・、ということに偏重しているのではないか?
アメリカは世界中の保秘情報を、他国の首脳の電話を盗聴するという手段を講じてまで集めているのだ。
⇒2013年11月 6日 (水):「アメリカの時代」の終焉と日米同盟/世界史の動向(2)
秘密情報はアメリカとの間では、バリアフリーになるということだろう。
一方、日本国民には、保秘の基準の設定の仕方によっては、永遠に闇の中ということになる。
特に、期限が明確に設定されないで期限の更新が可能であるとすれば、歴史の検証も不可能であろう。
⇒2013年11月 1日 (金):秘密保護法案と知る権利/花づな列島復興のためのメモ(270)
⇒2013年11月10日 (日):秘密保護法案の霞が関「非」文学/アベノミクスの危うさ(21)
文書や画像の管理がデジタル時代になって、保秘と公開の問題はより複雑化している。
国家安全保障会議は、安全保障上の脅威が発生した場合、外交交渉を継続するか武力の行使に踏み切るかの判断をすることになる。
大日本帝国憲法における統帥権に該当する。
昭和の初期において、統帥権が暴走して、先の戦争に至った。
⇒2012年10月26日 (金):菊田均氏の戦争観と満州事変/満州「国」論(7)
⇒2012年6月27日 (水):「昔陸軍、今〇〇」/花づな列島復興のためのメモ(95)
国家安全保障会議の事務局になる国家安全保障局(NSA)の初代局長に谷内正太郎氏が内定したという。
谷内氏は、元外務次官で現内閣官房参与である。
まあ妥当な人事という評判のようだが、人に依存するようでは危ない。
システムとして基本はオープンな体制でないと、歴史が繰り返すことになる恐れがある。
マルクスの言葉として伝えられているが、「歴史は二度繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」。
そうならないようにと願う。
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