違憲(状態)の国会で重要法案を決めるのか?/花づな列島復興のためのメモ(274)
1票の格差が、最大2.43倍だった昨年12月の衆院選は違憲だとして提訴されていた訴訟の最高裁判決が示された。
「違憲とまではいえず、違憲状態にとどまる」という判断である。
全国各地の高裁で次々に「違憲」判決が出されている。
それは政治の怠慢を指摘していたのではなかったか。
⇒2013年3月26日 (火):衆院選無効の高裁判決/花づな列島復興のためのメモ(202)
高裁判決に比べると、最高裁判決は後退しているように見える。
保守的であり、微温的とも言えよう。
しかし、法的判断には常に保守的要素が付きまとう。
先を行く時代の潮流を汲み上げて法に反映させるのは立法の役割だろうが、自分たちの身分が違憲状態の選挙によるものだとしたら、早く状態を変えたいと思うのが通常人の考えだろう。
ところがこともあろうに、あわよくば憲法を改正しようというのだから驚く。
伊坂幸太郎『魔王』講談社文庫(2008年9月)という小説がある。
『魔王』と『呼吸』という2つの5年の時間を隔てた連作の物語で構成されている。
『魔王』は安藤兄弟の兄が中心人物であり、『呼吸』は弟が主人公である。
そして、兄と弟は、性格がおよそ正反対であるが、ある種の超能力を備えている(のかも知れない)ところが共通点である。
話題の中心は、たとえば憲法改正である。
『呼吸』の中で、弟(潤也)の口から次のような言葉が出る。
「可能であれば」潤也君はさらに言う。「一度目の改正で、憲法改正の要件を、つまり九十六条を変えることができれば、もっと都合が良い。二度目以降の国民投票をやりやすくしておくわけだ。とにかく、賢明で有能な政治家であれば、唐突に大胆なことをやるのではなく、まずは楔を打ち、そこを取っ掛かりに、目的を達成する。そうする。俺ならそうする」
既視感のようなものを覚えるのは私だけではないだろう。
安倍政権が、九十六条の先行改正を口にしていたことは記憶に新しい。
改憲が簡単には進まないと見たのであろうか、内閣法制局長官、NHK経営委員会委員等の人事を自分のシンパで固めるという鵜飼作戦も併用しているようだ。
財界代表格として任命された日本たばこ産業(JT)顧問の本田勝彦氏は安倍首相の小学生時代の家庭教師だった。小説家の百田尚樹氏は文化界の代表的右翼だ。韓国に対する「ヘイトスピーチ」を日常的に行う日本の右翼団体「在日特権を許さない市民の会」に対し、「在特会がしていることを国家単位でやっているのが韓国」という言葉をはばからない。少し前に彼が書いた太平洋戦争当時の日本の特攻隊員の活躍を描いた『永遠の0』はベストセラーになった。
哲学者である埼玉大学名誉教授の長谷川三千子氏は安倍首相を熱烈に支持する保守論客だ。日本国内の右翼をひとつにまとめ理念的論理を提供する団体である日本会議の代表委員だ。海陽学園海陽中等教育学校長の中島尚正氏は安倍首相のブレーンである葛西敬之JR東海会長が設立に関わった学校の関係者だ。
彼ら新経営委員が持つ意味は大きい。NHKの会長人事を経営委員が決めるためだ。東京新聞は、会長選任は12人の経営委員のうち9人以上の賛成が必要とし、これは逆に言えば新たに任命された安倍首相側近4人が反対すれば選任されないということと解釈した。
http://japanese.joins.com/article/506/178506.html?servcode=A00§code=A00
私の身近な選挙区である静岡5区、6区でも1票の格差は2倍を超えている。
東京新聞11月21日
『魔王』の言葉をもう1度引用しよう。
「昔、子供の時に観たテレビドラマで、『マクガイバー』っていうアメリカのやつがあったんだ」
「安藤にもそういう時代があったわけか」
「『冒険野郎マクガイバー』だよ。マクガイバーはさ、身近な物を武器にして戦うんだ。まあ、工夫が得意なんだな。で、その主人公がよく困難にぶつかると、自分に言うんだ」
「何て」
「『考えろ考えろ』ってさ。よし、考えろマクガイバー。自分に言い聞かせるわけだ」
「妙に、内省的な冒険野郎だな、そいつ」
「粗筋はまったく覚えていないのに、あの、主人公の台詞はよく思い出すんだ。考えろ考えろ」
「考えろ考えろ」
マクガイバーの声は、われわれにとても重く響く。
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