廃炉への長い工程と脱原発/原発事故の真相(93)
福島原発4号機からの燃料取り出しが始まった。
東京電力は福島第1原発事故から2年半以上たった18日午後、破損した原子炉の一つから燃料を取り出すという困難で危険を伴う作業を開始した。1年以上かかるとみられるこの作業は、30―40年を要する廃炉に向けた最初のステップだ。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304894104579206713118322306.html
ようやく廃炉に向かう第一歩を踏み出せた。
しかし、廃炉作業には21世紀半ばまでかかると予想されている。
当初の廃炉の中長期工程は、下記のように想定されていた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2011071002100004.html
前倒しされたとはいえ、気が遠くなるような将来である。
私が生きている間には、廃炉の完了はないのだろう。
今後13カ月をかけて、合わせて1533体の使用済みと未使用の燃料集合体を取り出して、福島原発の6基の原子炉用につくられた共用プールに移して保管する。
燃料集合体は、燃料ペレットの入った60―72本の燃料棒から成り、重さ550ポンド(248キログラム)ある。
これを損傷させないように細心の注意を払いながら、1㎝/秒の速度で慎重に吊り上げるのだ。
もし損傷させると、連鎖的な核反応が起きる可能性もある。
廃炉に向けた作業は、溶融燃料の状態の把握や遠隔操作ロボットの開発など技術的な課題も多い。
汚染水漏れなどトラブルが多発していることを考えると、計画通りに進むかは不透明であるが、何とかオールジャパンというか世界の力を借りてでも廃炉に漕ぎつけてほしい。
また、原子炉内の部品や制御棒など、解体後に出る「廃炉のごみ」の問題もある。
http://www.asahi.com/articles/TKY201311170282.html
廃炉が決まっている日本原子力発電東海原発が、来年度から予定している原子炉の解体作業を先送りした。
廃炉のゴミを埋める処分場がいまだに決まっていないからだ。
廃炉は長く困難な工程であるが、これが完了しない限り事故の収束と言うべきではないだろう。
そして事故が収束をみないうちに、軽々に再稼働など口には出せないのではないか。
福島第一原発事故は、原発による電力を享受してきた世代の、将来世代への債務であると認識すべきだろう。
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