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2013年11月10日 (日)

秘密保護法案の霞が関「非」文学/アベノミクスの危うさ(21)

「霞ヶ関文学」という言葉がある。
法案や公文書作成における官僚特有の作文技術を指し、文章表現を微妙に書き換えることで、別の意味に解釈できる余地を残したり、中身を骨抜きにするなどを狙った言葉の使い方である。
⇒2011年7月11日 (月):震災復興会議の提言と「霞ヶ関文学」/花づな列島復興のためのメモ(2)
⇒2012年10月10日 (水):「霞ヶ関文学」と「東大話法」はメダルの表裏/花づな列島復興のためのメモ(149)

特定秘密保護法案が7日の衆院本会議で審議入りした。
野党は対象になる情報の範囲が広すぎ、政府が情報隠しに使えるなどと追及している。
国家の秘密というものはあるだろう。
それを無制限に漏らしていい、ということではない。

しかし、民主党の渡辺周氏は衆院本会議で、別表に「その他」という言葉が多いと指摘したが、実に多くの「その他」という単語が使用されている。
Photo
東京新聞11月8日

「その他」という言葉は便利である。
ビジネスではよく、「MECE」ということが言われる。
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する言葉、 要するに「重複なく・漏れなく」という意味である。
Mece
この「漏れなく」であるためには、「その他」を用いれば良い。

しかし、「その他」というのは極めて曖昧な言葉である。
言い換えれば、恣意的な運用の余地がある。
恣意的な特定秘密の指定を防ぐため、政府は有識者の意見を踏まえて統一基準をつくるという。
しかし、基準は基準であって、その解釈にも当然幅が生まれる。

政府はこれまでの国会答弁でも線引きを説明してきた。自民党もホームページ上で法案にない具体例を掲載して理解を求めるが、曖昧さはなお残る。例えば、原発の事故情報は対象外だが、原発の警備状況は「テロ防止の措置にあたる」(同法案を担当する森雅子少子化相)として対象になり得るとの見解だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO62279870Y3A101C1EA1000/

所管の森雅子少子化担当相の発言からして、ブレている。

 森氏は環太平洋連携協定(TPP)交渉内容について「(特定秘密に)なる可能性はある」と明言した。
 だが、「特定秘密の対象とはならない」とする政府見解との食い違いを指摘されると、その日のうちに訂正した。
 また、沖縄返還に伴う日米密約を報じた記者が、外務省の女性事務官をそそのかしたとして逮捕された西山事件のような取材活動は処罰対象になるとの認識を示したが、批判を受けて「私は過去の事件を述べる立場にない」と軌道修正した。
 さらに原発情報に関し「警察の警備実施状況は特定秘密に指定され得る」と述べたが、これは礒崎陽輔首相補佐官が先に「原発情報が指定されることは絶対にない」と明言したことと食い違う。
 これでは一体、誰の説明を信じればよいのか。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/502394.html

それだけ、曖昧で恣意的な解釈が可能だということである。
別の意味に解釈できる余地を残すのが霞ヶ関文学であるにしても、このように「その他」を多用しては、別の意味どころではないだろう。
レトリック以前の問題であり、霞ヶ関文学というよりも霞ヶ関「非」文学ではなかろうか。

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