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2013年11月25日 (月)

原発事故と甲状腺ガンの発生確率/因果関係論(23)

福島県が11月12日、「県民健康管理調査」検討委員会において、福島原発の事故発生当時に18歳以下だった子供の甲状腺検査の結果を明らかにした。
甲状腺は、のど仏の下にあり、気管を囲むように張り付いている蝶のような形の小さな臓器で、そこで作られる甲状腺ホルモンの機能は、”全身の代謝の調節” といわれる。
Photo_3
http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/07/post_c9a9.html

上図に見るように、男女で位置に若干の差異がある。
2011年度から2013年度の3年間の間に検査を受け、結果が判定された約22万6000人のうち、甲状腺がんやその疑いがあると診断された人は59人だったという。
果たしてこの数値は事故がない場合との比較において、有意差があるのかないのか?

一般に甲状腺がんは被爆後、4~5年後に著しく顕在化してくる。原発事故による甲状腺がんのデータはチェルノブイリ原発のものがあるが、現時点では福島のデータと同じ条件で比較することはできない。ただ一般論として考えれば、今回の調査結果はかなり深刻なものと捉えてよいだろう。
被爆がない場合、子供に甲状腺がんが発見されるのは100万人あたり17人程度であり、59人という数字はそれよりも高い。しかも59人というのは3年かけて30市町村で検査した累計であり、各年度での母集団が異なっている。確率を考えるのであれば、年度ごとに区切った方がより正確であり、その場合、最もサンプル数の多い2012年度では100万人あたり317人ということになる。

http://www.huffingtonpost.jp/2013/11/18/fukushima-chernoby-children-cancer_n_4294415.html

以下のようなデータがある。
Photo_2
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2013/02/3.html

チェルノブイリ周辺と福島の検診人数を四角形で、確定甲状腺がん数を黒丸、甲状腺がん疑い数を灰色丸で表示したものである。
チェルノブイリでは、原発事故から4~5年たって甲状腺がんが発生しており、専門医は「被曝から3年以内に発生する可能性は低い」と分析しているという。

しかしもし継時的に発症数が増えるとすれば決して楽観視できないだろう。
福島県の甲状腺検査のあり方には従前より疑問が投げかけられていた。
⇒2012年10月 6日 (土):福島県の健康(甲状腺)検査の実態/原発事故の真相(49)

福島県の甲状腺検査の進展状況は以下のようである。
Photo_2
東京新聞11月24日

統計的検定をするとどういうことになるのか分からないが、10/41,493=0.024%、16/197,292=0.0081%であって原発近くの市町村の方が3倍程度多いということになる。
福島県立医大の鈴木真一教授は、「チェルノブイリでは事故発生後4年経過してから甲状腺ガンが出た(から福島原発事故との因果関係はない)」としているが、果たしてそう言い切れるのか?
福島のデータは、5年後にはさらに大きくなる可能性は十分にある。
Photo_3
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2013/02/3.html

チェルノブイリ調査は、子どもたちに甲状腺がんが急増した時期に実施されたのに対し、福島調査は、チェルノブイリでわずかに甲状腺がんの増加が見られ始めた時期に実施されているが、すでに、チェルノブイリ事故の高汚染地域に匹敵する頻度で甲状腺がんが発生しているからである。

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