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2013年11月 3日 (日)

魂の勝利・東北楽天ゴールデンイーグルス/ブランド・企業論(7)

日本シリーズを東北楽天ゴールデンイーグルスが制した。
シリーズ最大のポイントは、田中投手が複数勝利を挙げられるかどうかであったが、そう簡単には許されなかった。
去年の8月から続いていた連勝は、30でストップした。
⇒2013年10月26日 (土):田中将大と稲尾和久/「同じ」と「違う」(61)

まあ、永久に不敗ということはあり得ないので、いつかは負ける日が来るが、第6戦という大一番にそれが当たった。
続く第7戦をイーグルスは美馬投手を立て、ジャイアンツに挑んだ。
美馬投手が期待に応えてが好投、6回までゼロ封して則本に繋ぎ、さらに田中がクローザーとして9回を締め、胴上げ投手となった。

自ら志願しての登板だという。
田中は、昨日160球を投げたが、敗戦のままでは終われないという心境だろう。
美馬→則本→田中と、まさに「魂」の継投であった。
MVPは、無失点の美馬が獲得した。

イーグルスは、2004年創立の最も新しい球団である。
対するジャイアンツは、プロ野球チームとして最も長い伝統を誇る。
いわば伝統の強豪と新興の争いであったが、球史に残る名勝負といっていい展開だった。

普段は野球を観る習慣のない私も、TV観戦を楽しんだ。
3勝2敗で先に王手をかけたのはイーグルスであったが、第6戦を不敗のエース田中将大で落とした。
結果的には、それが却って最終戦を盛り上げることにもなった。

イーグルスと言えば、やはり東日本大震災との関係が思い起こされる。
イーグルスの本拠地は、仙台市の日本製紙クリネックススタジアム宮城(Kスタ)である。
同球場は、県営宮城球場の愛称であるが、ネーミングライツ保有者の日本製紙は契約を更新しない予定だという。
つまり、来季から名称が変わるわけである。
⇒2013年2月 6日 (水):自治体のネーミング戦略/花づな列島復興のためのメモ(188)

仙台市は東日本大震災で被災した。
震災当日、楽天は兵庫県立明石公園第一野球場でオープン戦を行っていた。
翌12日以降、オープン戦が中止となるなか、楽天は各地で練習試合を行っていたが、試合に集中できる状況ではないこともあって、なかなか勝つことが出来なかった。
また、被災地への移動もままならないような交通状況ではなかった。

そんな中で、4月2日の北海道日本ハムファイターズ戦に先立って行った嶋基宏選手のスピーチが印象的だった。
嶋選手は、日本野球機構の職員よりスピーチの内容をもらっていたが「自分たちの思いを伝えたい」という理由により、その内容を自分の言葉に変えてスピーチを行ったといわれる。
「見せましょう、野球の底力を」は、この年の流行語大賞にノミネートもされたが、嶋選手は、「底力」という言葉に、「こういう時こそ野球界が一丸となって戦っていきたいという意味」を込めたという。

なお、嶋選手は2012年12月6日、阪神タイガースの新井貴浩の後を継ぎ、パ・リーグ生え抜きの選手として初めて、労働組合日本プロ野球選手会の第8代目会長に史上最年少の27歳で就任した。
元楽天監督の野村克也氏は、「捕手は頭脳が良くなければいけない」という持論から、コーチに頼んで正捕手候補数名の中学時代の通知票を取り寄せたところ、嶋がオール5だったことからルーキーでの一軍起用を即決したという。
中学時代はオール5の成績で、生徒会長も務めたという。
嶋捕手の頭脳が、田中投手の不敗記録を支えたのは想像に難くない。

今やイーグルの代名詞になった感のある「魂」という言葉である。
お立ち台に立ったイーグルスの選手は、ほとんどがこの言葉を口にする。
たとえば、日本シリーズ第5戦で決勝打の銀次選手:「魂しか、ありませんでした」
同じく第5戦で先制打の岡島選手:「魂込めて打ちました。何としても先に点を取りたいと思っていたので、打てて良かったです」
第3戦で先制打の藤田選手:「チームメイトがチャンスで回しくれたので魂で打ちました」
CSの対ロッテ戦でピンチに登板した斎藤投手:「魂込めて投げましたよ」
同じくCSの対ロッテ戦で決勝打の嶋選手:「魂で打ちました」

安易に多用すると軽くなりがちな言葉であるが、今季のイーグルスには相応しいといえるだろう。
第6戦で負けはしたが、田中将大投手も9回を1人で投げ切り、見事に第7戦の幕を引いた。
昨年リーグ4位の成績からすれば、日本シリーズに出場しただけでも良しとすべきところだろう。
しかし、東北のチームということや田中投手の目覚ましい戦績などから、世間の期待値が上がっていたと感じられる。
被災地にとっては何よりのプレゼントだっただろう。

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