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2013年10月20日 (日)

金子三勇士さんのコンサート

テレ朝系で日曜日に放映されている長寿番組に『題名のない音楽会』がある。
クラシック音楽を中心に音楽をいろいろな角度から楽しませてくれる。
当初、作曲家の故黛敏郎さんが司会をしていたが、現在は指揮者の佐渡裕さんがやっている。
今日の出演者に、金子三勇士さんがいた。

実は、三勇士さんの演奏を昨夜、目の前で堪能したばかりである。
三勇士というのは珍しい名前であるが、“みゆじ=Miyuji”と読む。
日本人の父とハンガリー人の母を持つハーフである。
1989年年生まれだから、まだ23~4歳である。
6歳にして単身ハンガリーに留学し、祖父母の家よりバルトーク音楽小学校に通った。
しかし、実に折り目正しい日本語を話す。

裾野市千福が丘の住人で、企業向けの語学研修などを主業務としている株式会社エフ・アイ・エー(F.I.A.)の社長である金子詔一さんが開いた小さなコンサートである。
三勇士さんと詔一さんは、同じ金子姓であるが、たまたまということだそうだ。
詔一さんは、『今日の日はさようなら』の作詞・作曲を手掛けたミュージシャンでもある。
『今日の日はさようなら』は森山良子さんが歌って大ヒットしたが、ボーイスカウトやガールスカウトの活動において、団員やリーダーたちによって歌われるスカウトソングであり、文化庁と日本PTA全国協議会が、親子で長く歌い継いでほしい童謡・唱歌・歌謡曲などを対象にして選定した「日本の歌百選」に選ばれている。

詔一さんは、『今日の日はさようなら』以外にも、裾野市内外の学校の校歌なども手掛けられているが、『ランドセルの歌』という実にいい歌がある。
実は、先日来春小学校に入る孫のランドセル選びに付き合ったのだが、ランドセルという用具には独特の思いが込められている。
⇒2011年6月 3日 (金):金子詔一さんの『ランドセルの歌』
⇒2013年9月22日 (日):ランドセル俳人・小林凛/私撰アンソロジー(29)
⇒2011年4月13日 (水):左手のピアニスト・智内威雄さんの演奏を目の前で聴

千福が丘というのは東急グループが開発した高級住宅地で、詩人・文芸評論家の大岡信さんも、終の棲家にした。
詔一さんが、F.I.A.の千福が丘オフィスの中に、ライブラリー“一人静か”を開設し、コンサート会場としても供用している。
ラウンジという感じの小規模会場であるが、モーツアルトなどはこんな会場で演奏したのではないかと思われる。
そこで、三勇士さんのリサイタルが行われた。
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三勇士さんは、ピアノメーカーとして有名なスタンウェイ&サンズ社のスタンウェイ・アーティストの1人である。
スタインウェイ・アーティストは、スタインウェイから金銭的なサポートを受けることはないが、個人的にスタインウェイピアノを所有し、プロフェッショナルとして演奏する時には常にスタインウェイピアノで演奏する演奏家である。
スタンウェイ&サンズ社が日本法人設立15周年を記念して、ジリコテという希少な木材を使用した特別限定製品を3台製造した。その中の1台を詔一さんが購入したという縁で今回の演奏会になったということである。

“一人静か”にはすでに1台のスタンウェイがあったが、今回は新旧2台の音色を聴き比べるという趣向もあった。
私には2台の違いを聴き分ける音感はなかったが、目の前で演奏される迫力はさすがだった。
公演は新と旧のスタンウェイの2部に分かれ、1部(旧)はベートーベンの『月光』の第一楽章に始まり(会場はセミオープンで晴れていれば月が見えたはずであるが、曇天にして適わず)、ショパンを中心に構成された。
2部はリストである。

三勇士さんにはハンガリーの血が流れているが、リストの演奏は彼のアイデンティティの証明でもあるだろう。
特に、ラ・カンパネラやハンガリー狂詩曲のような超絶技巧曲を目の前で、テレビでアップの画面で見るように、蝶が舞うようなダイナミックな運指を視聴できたのは得難い体験だった。
村上春樹のベストセラー『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は未読だが、「巡礼の年」というのが、リストの作品に由来することを教えてもらった。
『題名のない音楽会』でも演奏していたが、スイスの中の『郷愁』という作品を演奏してくれた。
三勇士さんがビッグアーティストに育つ予感のする演奏会だった。

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