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2013年10月30日 (水)

脱原発問題と俯瞰する力/知的生産の方法(75)

小泉元首相の「脱原発論」が政界を賑わせている。
どの程度の本気度なのかはとりあえず措くとして、安倍自民党に対するアンチテーゼは存在した方がいいだろう。
反応の中で興味深かったのは、小沢一郎氏である。
⇒2013年10月27日 (日):小泉元首相の脱原発論/アベノミクスの危うさ(18)

高い立場から冷静に考え、原子力はやめた方がいいという思いに至ったと思う

小沢氏の真意は分からないが、私は、「俯瞰する力」という言葉を連想した。
桃太郎の話は、日本人なら誰でも知っているだろう。
桃太郎が、お婆さんから黍団子(きびだんご)を貰って、イヌ、サル、キジを従えて、鬼ヶ島まで鬼を退治しに行く物語である。
私は、桃太郎は桃から生まれたと信じていたが、違うバリエーションもあるらしい。

各地に“ゆかり”の場所がある。
Wikipedia-桃太郎に、桃太郎サミットや日本桃太郎会連合会に参加する自治体とその“ゆかり”の場所として、次が挙げられている。

岡山県岡山市・総社市
 ・吉備津神社
 ・鬼ノ城
 ・中山茶臼山古墳
 ・矢喰宮
 ・楯築遺跡 (倉敷市)
 ・おかやま桃太郎まつり
香川県高松市
 ・田村神社 (高松市)
 ・桃太郎神社 (高松市)
 ・女木島 (鬼ヶ島)
 ・鬼無
愛知県犬山市
 ・桃太郎神社 (犬山市)
奈良県磯城郡田原本町
 ・廬戸神社(孝霊神社)
 ・法楽寺
 ・初瀬川
 ・黒田廬戸宮(孝霊天皇の宮比定地)

場所はともかくとして、桃太郎の話には、解釈をそそるものがある。
たとえば、
なぜ桃なのか?
黍団子の意味は?
なぜ、イヌ、サル、キジのセットが選ばれたのか?

おとぎ話にリーズナブルな解釈というのもどうかとは思うが、比較的分かりやすいのは、中山志高夢が叶う桃太郎伝説の知恵』リーブル出版(2012年5月)に示されているイヌ、サル、キジの役割であろう。
イヌ:自分の役目を忠実に実行
サル:知恵を働かせ、具体化
キジ:情報を収集し、的確に伝達

今盛んに宣伝している映画『人類資金』は、「M資金」を扱っている。
なぜ、今さら、M資金なのか?
映画は阪本順治監督で、小説の原作者である福井晴敏氏とタッグを組んで脚本を書いている。
原作は現時点では未完である(全7巻の予定で、先日第4巻が発売されたばかり)が、映画は半ば独立した作品ということであろう。
社会派作品で知られる阪本監督は、「33年前に読んだM資金にまつわる本に引かれたのが、今作の企画のきっかけ」と語っているが、高野孟『M資金』日本経済新聞社(1980年3月)を指している。
⇒2009年1月15日 (木):「M資金」の謎

問われているのは、「M資金」を題材に、現代社会は富の集中や経済格差で行き詰まっているが、「お金の流れを変えたら、違う景色が見えるのではないか」ということである。
金融資本主義の矛盾は、そこここで噴出している。
東日本大震災という大きな犠牲を、「違う景色」の契機とし得るか否か?
⇒2011年3月22日 (火):津々浦々の復興に立ち向かう文明史的な構想力を

景色を見る姿勢を極論すれば、鳥瞰と虫瞰ということになる。
鳥のように上空から見るか、虫のように地べたからみるか?
どちらが「いい」とか「重要だ」ということではないが、桃太郎がキジをお供に連れたというのは、鳥瞰的な情報を欲したことを意味しているのではないか?

鳥瞰というのは、鳥瞰図などの熟語にもなっているが、上空から見た様子である。
たとえば下図のようなものである。
Photo
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/ren/web/ren11/tyou2_1.html

実際にこう見えるかどうかは別として、紀伊半島というもののマクロな理解に役立つ。
クルマで巡っても、なかなか全体の中で現在地点を位置づけるのは難しいが、こういう図だと「なるほどここか」という風に得心する。
たとえば、今年行った橋杭岩という名勝地は、上記の「2」である。
⇒2013年5月10日 (金):橋杭岩と宝永地震/紀伊半島探訪(4)

鳥瞰とほぼ同義語に俯瞰がある。
断捨離という言葉を、生き方にまで拡大して考えようと提唱して大きな反響を呼んでいるやましたひでこさんは、断捨離の続編として、『新・生き方術 俯瞰力 続・断捨離』マガジンハウス(2011年5月)という本を出している。
やましたさんは、俯瞰力の要諦を、「自分を軸にして空間(全体性)を捉え、深い洞察・高い視点・広い視野を獲得する力」と言っている。
Photo_2

「俯瞰する力」とは、見通しの利く力ということである。
見通しが利けば、ゴールを見据えることができ、ぶれ難い。
また、ゴルフのコースマネジメントと同じように、適切・的確なマネジメントに資するのではないか。
小泉元首相の政策は、「現代社会は富の集中や経済格差で行き詰まっている」のを推進したように思うが、小沢氏の言うように、「俯瞰する力」によって脱原発に至ったのならば、期待できるのかも知れない。

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