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2013年10月29日 (火)

どこまで続く金融腐蝕列島・みずほ銀行/ブランド・企業論(6)

みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のみずほ銀行が暴力団員向け融資を放置した問題で、みずほ銀行は金融庁に業務改善計画を提出した。
Photo
http://mainichi.jp/opinion/news/20131029ddm003040082000c.html

記者会見した佐藤康博頭取(FG社長)は「(組織的な)癒着、不正、隠蔽(いんぺい)は認められなかった」とする一方、「経営陣の意識、感度の低さに原因があった」と陳謝。自身の報酬を半年間ゼロとし、前頭取の塚本隆史会長は辞任(兼務するFG会長は留任)、役員OBへの報酬返納要請も含めて計54人を処分すると発表した。ただ「実態解明が不十分」「処分が甘い」との批判は強く、今後、金融庁の追加処分が焦点になりそうだ。
http://mainichi.jp/select/news/20131029k0000m020117000c.html

みずほ銀行といえば、『金融腐蝕列島』を連想する。
高杉良氏の原作で、原田眞人監督により、役所広司、仲代達矢、椎名桔平らのキャスティングで映画化もされた。
原田眞人監督は高校の後輩で、この映画も、『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』などの作品と同様に映画館で観た。

映画の原作は、高杉氏のシリーズ作品の第2巻の『呪縛』である。
この作品は、産経新聞に連載されたものであるが、前作やこの後の2作品の舞台が協立銀行とされているのとは異なる。
モデルは第一勧業銀行総会屋事件であり、題名の「呪縛」は第一勧銀の近藤克彦頭取が会見で「呪縛が解けなかった。」と述べたことに由来する。

舞台は1997年、大手都市銀行の朝日中央銀行、通称ACB(Asahi Central Bank)。バブル期に行われた丸野證券がらみの総会屋への不正融資300億円の処理が問題となるが、旧態依然とした経営陣には危機感がない。しかし5月、東京地検特捜部がついにACB本店に家宅捜索に入る。役員らは頭取・会長の交替でことを済ませ責任を回避しようとするが、捜査の進展につれて事態が次々と明らかになり、マスコミから激しいバッシングを受ける。
Wikipedia-金融腐蝕列島

主人公の中堅行員、ACB企画部次長・北野浩と志を同じくする同期のMOF担らミドル「4人組」が主人公である。
作家、コメンテーターの江上剛氏は、元第一勧業銀行社員で、総会屋利益供与事件に際し、広報部次長として混乱の収拾に尽力した経緯がある。
「4人組」のモデルの1人であろう。
話題のTVドラマ『半沢直樹』をシリアスにした先行版である。

そのためかどうか分からないが、既視感のようなものを覚えるのは私だけだろうか?
みずほFGには、かねてから、前身の第一勧業、富士、日本興業の「旧3行意識」が抜けないと言われている。
旧3行の統合後も、持ち株会社のみずほFG(2003年1月までみずほホールディングス)と、傘下の旧みずほ銀、旧みずほコーポレート銀の幹部を旧3行で分け合うたすき掛け人事を続けてきた。
問題融資発覚時のみずほ銀頭取は、旧富士銀出身の西堀利氏、後任の頭取は旧第一勧銀出身の塚本隆史氏、佐藤康博氏は旧興銀出身である。
オリコの問題は勧銀案件とも呼ばれ、他の2行は口を挟みづらいとも言われる。
⇒2013年10月 9日 (水):みずほ銀行の暴力団融資の闇/花づな列島復興のためのメモ(266)

しかし、それを理由にできないことは、小学生でも分かることである。
みずほFGは、今年7月1日付で、中小企業・個人向けの旧みずほ銀と、大企業向けの旧みずほコーポレート銀を合併させて新みずほ銀行を誕生させた。
「ワンみずほ」というCMはよく耳にするところだ。
しかし、今回の処分案でも2トップ体制は存続する。
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http://www.asahi.com/articles/TKY201310250033.html

しかし、それで責任を取ったと言えるのか?
グループを束ねてきた佐藤氏と塚本氏が退けば、組織が崩壊しかねないという危機感が続投の理由のようだが、疑問が残る。

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