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2013年10月13日 (日)

八咫鏡とは何か?/やまとの謎(90)

大師10月2日、伊勢神宮の式年遷宮で内宮の神体を新正殿に移す「遷御の儀」が行われた。
⇒⇒2013年10月 3日 (木):伊勢神宮の起源/やまとの謎(88)

 参道の常夜灯などの明かりが消されると、天皇の使いである勅使が「出御(しゅつぎょ)」を告げた。午後8時、旧正殿を出た神体の八咫鏡(やたのかがみ)は、白い絹の布で覆い隠され、神宝の太刀や盾、鉾(ほこ)などを持った神職ら百数十人に前後を守られるように進んだ。
 暗闇のなか、提灯(ちょうちん)の明かりにうっすらと照らされた白い絹の布が通り過ぎると、人々は頭を垂れ、柏手(かしわで)を打った。同40分ごろ、西隣の新正殿に「入御(じゅぎょ)」
した。
http://www.asahi.com/national/update/1002/NGY201310020029.html

「遷御の儀」とは、神体の八咫鏡を旧正殿から新正殿に遷す儀式が中心となる。
八咫鏡は、三種の神器の1つである。
三種の神器は、日本神話において、天孫降臨の時に、瓊瓊杵尊が天照大神から授けられたという鏡・玉・剣のことである。
すなわち、八咫鏡・八尺瓊勾玉・天叢雲剣の3つであり、歴代天皇が継承し、皇位の正統性を示すものである。
1
Wikipedia-三種の神器

三種の神器のうち、剣すなわち天叢雲剣と爾すなわち八尺瓊勾玉とを併せて、剣爾と称する。
剣は熱田神宮に祀られており、宮中には分身がある。
爾(玉)は、宮中に本体があるとされる。
八咫鏡も宮中にあるものは、分身であって、本体は伊勢神宮のものである。

剣爾は、天皇の身近にあって、天皇と共に移動する。
前回の式年遷宮の翌年の昭和49年11月7日に、昭和天皇と皇后が伊勢神宮に参拝した。
このとき、剣爾が携行された。剣爾御動座である。
これに対し、八咫鏡は、宮中三殿の中央の賢所に祀られていて、特別の場合を除いて動かされることはない。
つまり、三種の神器の中でも別格というか筆頭の位置づけということになる。

剣と玉は、源平の壇ノ浦の戦いで二位の尼が安徳天皇を抱き腰に神器の剣を差し勾玉の箱を奉じて入水し一緒に水没したとされる。
このようなことから、現存するもの位置づけについてはいろいろな考え方があるが、Wikipedia-三種の神器には、次のような説明が載っている。

神器が現存か否かについては異説が多いが、そもそもの実体や起源を論ずる段階で諸説があるため、どのような情況をもって「現存」とよぶのかすら論者によってまちまちな前提での議論が多い。
また三種の神器は、「皇室所有とされること」に意味があるとの主張もある。つまり、「皇室が三種の神器を所有している」というより、「皇室所有のもの」こそが、三種の神器とする。これは皇室の権威を最大限にみなし、三種の神器を単なる権威財とみなしている。しかしそれなら、神器が奪われても天皇が所有権を放棄し新たな神器の所有権を取得すればいいことになるので、過去に天皇を崩御させてまで1つの個体を奪い合ったり、占領に備えて隠そうとしたりしたことが説明できない。
そもそも実際の儀式に使われるのは三種の神器の「形代」(レプリカではなく神器に準ずるもの)であり、実物については祭主たる天皇も実見を許されないため、その現存は確認できない。

八咫鏡の実体はどのようなものか?
Wikipedia-八咫鏡には、次のような記述がある。

金属鏡であったか、石鏡であったか定かではなく、発生年代不詳。
・・・・・・
神道五部書等によれば「八葉」といい、考古学者の原田大六は福岡県糸島市にある平原遺跡出土の大型内行花文鏡(内行花文八葉鏡)と、もとは同じ形状、大きさのものではなかったかと推定している。この鏡は、明治初年に明治天皇が天覧した後、あらためて内宮の奥深くに奉置されたことになっている。

要するに、実体は良く分からないが、大型内行花文鏡(内行花文八葉鏡)と同様なものなのだろう。
同鏡は、文字や神獣などの図柄の無い図象のみの青銅鏡である。

科学技術が高度化した現在において、このような神器が大きな意味を持っていることは不思議な感じがするが、行き過ぎると皇国史観になる。
神器を特別視するのは、物神崇拝のような気もするが、いずれにしろ共同幻想である。
心の問題と科学技術の問題のバランスをどう折り合いをつけて行くのか。

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