伊豆大島の台風禍/花づな列島復興のためのメモ(269)
10月16日に関東地方に接近した台風26号で、伊豆大島で大きな被害が出た。
死者・行方不明合わせ50人近い。
さまざまな要因はあるのだろうが、写真を見る限りでは、道路から崩落しているから、道路の状況つまり開発が原因の1つになっていることは間違いないだろう。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20131017/636269/
子供の頃は、大規模な台風災害が多かったような記憶がある。
昭和22年のカスリーン台風はリアルタイムでは余り覚えていないが、利根川の歴史を勉強するようになって、戦後史に特筆される災害であることを知った。
昭和29年の洞爺丸台風は、水上勉の『飢餓海峡』のモデルになったとも言われているが、数少ない生き残りだという人と後年親しくなり、酒席でよく話を聞いた.。
しかし、往々にして体験談というものは、脚色されているようである。
昭和30年代前半の狩野川台風、伊勢湾台風は、はっきりとした印象が残っている。
特に、狩野川台風については、直接の被害を受けたわけではないが、身近な場所で大きな被害が発生したし、その体験を直接聞きもした。
しかし、治山治水対策の進展とともに、台風による大規模な被災は徐々に少なくなっていった。
狩野川についても、放水路が設けられて以降、大規模災害は起きていない。
伊勢湾台風の後、都市地域での水害が目立つようになってきた。
流域の開発とともに、保水・遊水機能が減少し、降水が一挙に集中的に流下するようになった。
一方、被災のポテンシャルとしての資産の蓄積・集中も進んだ。
国土の条件が災害に弱くなったのである。
高橋裕さんの先駆的な啓蒙書『国土の変貌と水害』岩波新書1971) に書かれている通りである。
しかし、ここ数年、また水害の様相が変わってきているような気がする。
雨の降り方が尋常ではないのである。
伊豆大島の降水量は、気象庁の観測史上最高となる24時間雨量824mmを記録した。
想像を絶する雨量といえよう。
設定されたばかりの特別警報は、広域が対象ということで発令されなかった。
⇒2013年8月28日 (水):異常気象頻発の夏と特別警報/花づな列島復興のためのメモ(253)
降水が激化している現象が、地球温暖化のせいかどうかは分からない。
また、温暖化しているにしても、CO2濃度が原因なのかどうか分からない。
しかし、何らかの地球科学的な変動が起きているのではなかろうか。
台風26号の進路は、ほとんど予想通りだった。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/masudamasaaki/20131015-00028924/
そして、10年に1度程度の非常に勢力の強いと言われてもいた。
自然災害に対して、いくら制度的な対応をしても、工学的な対応をしても、限界があるだろう。
最終的な判断はヒトに委ねられている。
今回の場合、住民と町という行政組織に、「まさか」という油断があったという指摘もある。
伊豆大島といえば活火山であり、火山活動の脅威が先ず頭に浮かぶ。
しかし、火山活動によりさまざまな噴出物が堆積している上にわれわれは生活を営んでいるのである。
伊豆大島だけのことではなく、日本という国土全体がそうなのである。
⇒2012年5月 8日 (火):火山活動との共生/花づな列島復興のためのメモ(62)
26号に続いて、27号が似たような進路で接近しているし、28号も発生している。
台風の襲来は避けられないが、災害の発生は防ぐことは避けることが可能であろう。
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