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2013年10月18日 (金)

積極的平和主義をどう理解するか/アベノミクスの危うさ(17)

安倍首相は、臨時国会における所信表明演説で、「積極的平和主義」という概念を使用した。

 戦後六十八年にわたる平和国家としての歩みに、私たちは胸を張るべきです。しかし、その平和を将来も守り抜いていくために、私たちは、今、行動を起こさねばなりません。
 単に国際協調という「言葉」を唱えるだけでなく、国際協調主義に基づき、積極的に世界の平和と安定に貢献する国にならねばなりません。「積極的平和主義」こそが、我が国が背負うべき二十一世紀の看板であると信じます。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement2/20131015shoshin.html

安倍首相は、9月の訪米時にも、保守系のシンクタンク・ハドソン研究所でも「積極的平和主義」に言及している。
首相のお気に入りの言葉と考えていいだろう。
それでは、「積極的平和主義」という言葉をどう理解するか?

伊藤憲一『新・戦争論―積極的平和主義への提言新潮新書(2007年9月)という著書がある。
「人類の誕生から現代の「イラク戦争」「対テロ戦争」までを射程に収め、戦争が成立してきた条件を問い直し、「戦争時代の黄昏」と「不戦時代の到来」を告げる文明論的考察。」と紹介されている。
また、日本国際フォーラム政策委員会が、2009年10月に『積極的平和主義と日米同盟のあり方』という政策提言を行っている。

これらの文脈の中で考えるならば、首相の「積極的平和主義」の意味するところは、日米同盟の強化と集団的自衛権に関する解釈の変更ということになろう。
専守防衛をうたい、不戦を誓った憲法9条を軸にした現行憲法の平和主義を意識したものであることは明らかである。
そして、ナチスの手口をまねて憲法改正をすればいい、と言った麻生副総理兼財務相とも歩調が合っている。

これを是とするか非とするか?
私は、現行憲法を完璧なものであって、不磨の大典だとは思わないが、現時点で麻生氏のように、「うまく」改正すればいい、ということには反対である。
⇒2013年8月 4日 (日):撤回では済まされない麻生副総理の言葉
そして安倍首相は、集団的自衛権行使容認に向けて、内閣法制局長官を更迭するなどの手を着々と打っている。

戦争と平和は、一般的には対立概念である。
しかし、往々にして、「平和を実現するために」という名目で戦争が始められるというのが事実であろう。
記憶に新しいところでは、ブッシュ前大統領が、イラク開戦にあたり米国民に向かって、「この危険な時を克服し、平和を実現する」と呼びかけたことだ。
そして皮肉にも、「イラクの自由」という作戦名を付けた。

小泉首相(当時)は、国連と日米同盟の両立を言っていたが、それが不可能な事態に立ち至ると、いち早く米国支持(つまり2国同盟優先の判断)を明確にした。
この時、副島隆彦氏の説くように、「日本はアメリカの属国」を実感したものだった。

戦争を始める言葉はいろいろある。
日本は、「聖戦」という言葉で、大東亜戦争つまり対(鬼畜)米英戦争(後に、対中、対蘭、対ソ戦争も含むと解釈された)を始めた。
同じ言葉(ジハード)が、イスラム国家で用いられている。
「聖」という言葉には宗教的なニュアンスがあり、近代的な合理主義とは対極的である。
そして多くの場合、聖戦を戦うのは、マインド・コントロールされ易い、そして拒否権を持たない純真な若者ではないか。

安倍首相の「積極的平和主義」には、アメリカと共同して軍事力行使によって平和を構築することを意味していると理解できよう。
武器や関連技術輸出を原則的に禁じる「武器輸出三原則」の見直しは、その一環である。
耳当たりのいい言葉には注意が必要である。

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