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2013年10月27日 (日)

小泉元首相の脱原発論/アベノミクスの危うさ(18)

小泉元首相の脱原発論が波紋を広げている。

 小泉氏の発言を歓迎しているのは民主党の菅直人元首相、前原誠司元外相、みんなの党の渡辺喜美代表、共産党の志位和夫委員長、生活の党の小沢一郎代表、社民党の又市征治幹事長ら。
 渡辺氏は十七日の衆院本会議の代表質問で小泉氏と直接「原発ゼロ」について語り合ったことを紹介し、安倍晋三首相に脱原発への政策転換を迫った。
 また七月の参院選で初当選した山本太郎参院議員(無所属)も本紙の取材に「言っていることはすごくまともだ」と評価している。
 彼らの多くは、以前小泉氏を批判し、激しく対立してきた。その「政敵」を持ち上げているのは小泉氏の知名度と発信力を利用し、脱原発の機運を高めようとしているからだ。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013102002000123.html

安倍政権の高い支持率を前にして、存在感を示せない面々の焦りが伝わってくるような気がする。
そんな思惑が見え透いては、対抗軸の構築など遠い夢だろう。
安倍首相は、小泉氏の発言について、「今の段階で(原発)ゼロを約束することは無責任だと思う」と批判している。

 首相の発言は、原発停止の影響で火力発電向け燃料の輸入コストがかさみ、原発ゼロを続けるのは現状では難しいとの認識を示したもの。小泉氏は最近、講演で「脱原発」を再三主張し、「経済界では大方が原発ゼロは無責任だと言うが、核のごみの処分場のあてもないのに原発を進める方がよほど無責任だ」などと語っている。首相はこれに反論した形だ。
http://www.asahi.com/articles/TKY201310240408.html

脱原発陣営は、所詮同床異夢なのだろうか?
ひょっとしたらという人物の名前が挙がっている。
細川護熙元首相である。

細川氏が日本新党を率いて、8党派連立により、自民党からの政権交代を実現したのは1993年のことであった。
しかし、消費税を福祉目的税に改め税率を3%から7%に引き上げる国民福祉税構想を発表したことをきっかけとして、与党の結束はもろくも崩壊し、辞任を余儀なくされた。
98年に60歳で電撃引退した後は、悠々自適のように見える生活を送ってきた。
しかし、3.11以後は「脱原発」に大きな関心を持ってきたと言われる。

「細川さんは先月末、専門家など数人と会って『脱原発』の可能性を探っている。もともと、細川さんは脱原発論者だが、タイミングや内容から、専門家は『小泉さんと連絡を取っているようだ』と語っていた」
 小泉、細川両氏をよく知る野党幹部が解説する。
 「2人が再びバッジをつけることはないが、連絡を取り合って野党再編の話をしているようだ。顧問的な立場で『脱原発』についてメディアなどで訴え、実動部隊は現役の野党議員というイメージだ。実際、私を含め野党幹部数人が、こうしたシミュレーションで連絡を取りながら、勉強会旗揚げの準備に入っている」
 小泉、細川両氏が後ろ盾となる「脱原発新党」が誕生すれば、確かに、世論の関心を高められそうだ。

https://www.facebook.com/hanayuu999/posts/487838277982262

私には政界の裏事情は良く分からないが、飯島勲という人がいる。
小泉内閣で首席首相秘書官として内閣を支え、2012年12月、第2次安倍内閣において内閣官房参与に就任した。
先日、知人が貸してくれたので、『秘密ノート〜交渉、スキャンダル消し、橋下対策』プレジデント社(2013年6月)に目を通してみた。
大概の本は何かしら得るものがあるものだが、この本に限って、読んで損をした気分である。
まったくの駄本というものだろう。

その飯島氏が、「週刊文春」に『激辛インテリジェンス』という連載コラムを持っている。
10月24日号に、「特別編」として、『小泉純一郎/「原発ゼロ宣言」に物申す!』を載せている。
どこが“激辛”なのか良く分からないし、インテリジェンスというのも羊頭狗肉だと思うが、要は、100年先ならともかく、20~30年先で捉えると、「脱原発」は「実現なき素晴らしき理想」だ、ということである。
そして、「『ゴミ捨て場がないんだから原発は止めよう』なんて論法はおかしいよ。そういう話を聞いたのなら、国内外を問わずに適地を懸命に探し、答えを見つけようと努力するのが政治家というものの責任感だろう。」としている。
まったく唖然である。
「答えの見つかるまでは、稼働させない」というのが「政治家というものの責任感」ではないのか。
このような人物が内閣官房参与として、安倍政権に何らかの影響力を持っているとすれば、危ういことであると言わざるを得ない。

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