ファミコンで新時代を開く・山内薄さん/追悼(35)
任天堂の山内薄相談役(前社長)が、19日亡くなった。85歳だった。
京都の企業である任天堂は、永く花札、トランプ等のメーカーだったが、山内氏がファミコン(ファミリーコンピュータ)を開発と市場導入に成功し、電子ゲーム業界の雄になった。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD1009J_Q3A710C1XX1000/
特に「スーパーマリオブラザーズ」は、ゲーム機に消極的だったわが家でも購入し、一家で楽しんだ。
上図を見ると、「スーパーマリオ」の発売は1985年である。
私の中で、戦後史の画期となるような事件が不思議にこの年に集中している。
⇒2010年8月12日 (木):転換点としての1985年
吉崎達彦氏の『1985年』新潮新書(2005年8月)によれば、以下のような年であった。
1.政治-中曽根政治とプラザ合意
2.経済-いまだ眩しき「午後2時の太陽」
3.世界-レーガンとゴルバチョフの出会い
4.技術-つくば博とニューメディア
5.消費-「おいしい生活」が始まった
6.社会-『金妻』と『ひょうきん族』の時代
7.事件-3つのサプライズ
「3つのサプライズ」とは、JAL機の御巣鷹山への墜落、阪神タイガースの優勝、三光汽船の倒産である。
さらに付言すれば、マイクロソフトがWindowsを発売した年でもあった。
Windowsは、パーソナルコンピュータのデファクト・スタンダードとして長らく君臨したが、スマートフォン、タブレットがPCに取って代わるようになってきて、戦略転換を余儀なくされている。
⇒2013年9月 5日 (木):タブレット市場とマイクロソフトの戦略転換/ブランド・企業論(1)
電子ゲームの世界は高度化して、スーパーマリオの時代のように私たちの世代が楽しめるものではなくなってしまっているようである。
山内氏は、1992年、米国大リーグ球団シアトル・マリナーズの経営危機に際し、個人的な資金でマリナーズ運営会社の株式を購入して、大リーグ史上初の非白人オーナーとなった。
「長い間米国任天堂を置かせてくれたシアトルへの恩返し」といわれる。
現在は、任天堂が山内氏の株式を買い取り(持株比率が50%を超え)、マリナーズ運営会社The Baseball Club of Seattleは任天堂の持分法適用会社となっている。
1つの時代を画した経営者といえよう。
合掌。
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