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2013年9月14日 (土)

損害賠償は実態に即した運用を/花づな列島復興のためのメモ(261)

最近、損害賠償に関して気になるニュースがあった。
1つは、認知症の男性が電車にはねられたのは見守りを怠ったからだとして、電車の遅延の賠償金約720万円を遺族からJR東海に支払うように命じた判決である。
事故に至る経緯は以下のように整理されている。
Photo_4
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013082902000002.html

名古屋地裁は、以下のように判断を下した。

医師の診断書などから男性の徘徊(はいかい)は予見できたとした上で、介護体制などを決めた横浜市の長男を「事実上の監督者」と認定。男性の要介護度が上がったのに、家に併設する事務所出入り口のセンサー付きチャイムの電源を入れるなどの対策をせず、妻も目を離すなど注意義務を怠った結果、男性が第三者に与えた損害は償うべきだとして、JRの求める全額の支払いを二人に命じた。遺族の代理人やJRによると、認知症の人による列車事故の損害賠償請求訴訟の前例は把握していないという。
同上

遺族は控訴しるが、この判決は、認知症の人の閉じ込めという結果にならないだろうか?
徘徊歴のある高齢者の家族は、すべて事故時に責任を負わされるおそれがあるということであり、介護のあり方にも大きく影響することになろう。
極論すれば、認知症の人は拘禁状態下に置けというようなことになる。

もう1つは、福島原発事故で生じた損害賠償をめぐる問題である。
民法に規定は以下のようである。

第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
この規定を杓子定規に適用すれば、東京電力に対する請求権が来年3月以降に失効することになる。
原発事故は、民法の想定している通常の不法行為とはかけ離れた災害である。
当然、実態に即すような立法措置が必要だろう。
法律が事態の後追いとなることは避けられない。
その間隙を埋めるのは、適切な政治判断と行政措置である。

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