原発の地元とは?/原発事故の真相(88)
NHKの朝ドラ『あまちゃん』が好評裡に終わった。
私は、朝ドラとか大河ドラマは基本的に見ないが、妻が見ているので、たまに一緒に見ることがある。
『あまちゃん』もはじめ、まったく見るつもりはなかったが、ふとした時から引き込まれてファンになった。
『あまちゃん』にはいろいろな仕掛けがあり、脚本の宮藤官九郎氏の腕の見せ所となっていたが、AKB48のようなアイドルグループとして、GMT47というのが登場する。
47都道府県の「地元アイドル」が所属するアイドルグループである。
主役の天野アキもその1人だった。
GMTは「地元」の意で、当然町興し的な役割も期待されている。
地元とは何か?
辞書には次のようにある。
1 そのことに直接関係ある土地。「―の意見を聞く」2 その人が居住している土地。また、その人の勢力範囲である土地。「―の候補者」
火力発電だと燃料費が経営を圧迫するという判断のようだ。
しかし、原発のリスクを本当に評価して経済性に換算しているのか、疑問である。
⇒2013年9月27日 (金):事故収束のメドも立たないのに再稼働か?/原発事故の真相(87)
再稼働の上で1つのハードルが「地元の同意」である。
この「地元の同意」は、法律上明記されたものではなく、同意なくして再稼働も可能という見方もあるが、現政権はその前提として同意は必要との認識を示している。
問題は地元の範囲が曖昧なことである。
昨年4月大飯原発の再稼働が問題になっていた時、滋賀県の嘉田知事は、「地元」の範囲について問題提起をした。
嘉田由紀子知事は2日の定例記者会見で、大飯原発3、4号機の再稼働判断で焦点となっている「地元」の範囲を巡り、「被害を受けるかもしれない『被害地元』を新たな概念として出していきたい」と述べ、立地より被害の観点から主張していく考えを示した。
嘉田知事は県が独自実施した放射性物質拡散予測で、原発30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)を超えて影響が広がる可能性が示されたことに言及。「立地自治体だけが『地元』ではかなり狭い。福島の事故の教訓を学ばないのは被害を受けた方々に申し訳ない」と語った。
http://onodekita.sblo.jp/article/54794215.html
しかし、電力会社にとって、交渉相手は少ない方がいいのは当然である。
「安全協定上の『事前了承』は、もともと再稼働とは関係ないですよ」
佐賀県伊万里市の古賀恭二総務課長は、玄海原発(同県)をめぐる九州電力との交渉でこう言われた。伊万里市は市内全域が原発から三十キロ圏内で、立地自治体並みの安全協定を求めている。
九州電力が玄海町や県と結ぶ安全協定には、原発の新増設や改修の際、同町の事前了解が必要と定められている。その意味を九州電力は「工事車両の出入りなどで原発近隣に迷惑を掛けるからだ」と説明したという。
東京新聞9月25日
原発事故の場合、大きな影響を受ける地域として、周辺自治体がある。
たとえば、福島第一原発の場合、立地している自治体は、大熊町と双葉町である。
しかし影響を受けるのは、もちろん両自治体に留まらない。
Wikipedia-福島第一原子力発電所事故の影響
私は原発再稼働は、核燃料廃棄物問題が解決しない限りあり得ないと考えるが、少なくとも影響を受ける自治体の同意は必要であろう。
⇒2013年9月25日 (水):核ゴミをこれ以上増やすな/原発事故の真相(86)
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