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2013年9月21日 (土)

福島第一原発の全号機廃炉は当然だが・・・/原発事故の真相(85)

安倍晋三首相は19日、福島第1原発を視察し、5号機と6号機を廃炉するよう東電に指示した。
東電が拒否することはないだろうから、全6基の廃炉は確実だといえよう。
というか、福島第一原発が再稼働される見通しが全くないことを考えれば、東電は主体的に廃炉を決定すべきだった。
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http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2013091900873

1~4号機の廃炉方針については、事故発生から3週間後の2011年3月末、東電の勝俣恒久会長(当時)が意向を表明する一方で、5、6号機は再稼働の可能性が全くないにもかかわらず東電が廃炉を決定していなかった。
引当金不足のためである。

経産省の試算によると、国内全50基の廃炉を決定した場合、業界全体で4兆4000億円規模の損失が発生し、東電を含め電力6社が債務超過に陥る。そうした事態に至る可能性はほとんどないとはいえ、活断層の有無の確認や巨大地震・津波への備え、安全性に関する最新の知見の反映などを求める新規制基準に基づく審査の結果、再稼働が不可能になり、まだ動かせるとみていた原発が「突然死」を迎えるリスクが従来に比べ高まっている。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE98I06020130919

東京電力は、福島第1原発の廃炉に備えた放射能汚染水対策などの費用として、新たに1兆円を確保する方針を表明した。
東電の広瀬直己社長は、今後10年程度で、コストダウンや設備投資の抑制などで資金を捻出すると説明しているが、既に大規模な合理化を実施中であり、さらなる資金確保が可能かは不透明なであるし、巨額の新たな負担は経営再建にとって重荷となる。

現行の会計制度では、設備の減価償却や廃炉費用の積み立てが終わっていない原発を廃炉にすれば一度に巨額の損失処理を迫られ、財務が急激に悪化する。
ただ、経済産業省は、廃炉費用の分割処理を認めるなど、電力会社の負担を軽減する新制度を近く導入する見通しだ。
5、6号機の廃炉に適用されると、東電の財務負担は軽減されるが、廃炉費用は電気料金に転嫁される。
結局消費者にしわ寄せが来ることになる。

ざっと考えただけでも、廃炉の技術的・制度的問題以外に、福島第一原発事故の収束には以下のような課題がある。
【汚染水対策】
⇒2013年7月28日 (日):高濃度汚染水対策を急げ/原発事故の真相(74)
⇒2013年8月17日 (土):汚染水対策の不安/原発事故の真相(77)
⇒2013年8月23日 (金):政府は非常事態宣言を発するべき/原発事故の真相(80)

【除染】
⇒2013年1月11日 (金):除染の実態/原発事故の真相(53)
⇒2013年1月14日 (月):除染の実態(続)-汚染の拡散と健診の不正/原発事故の真相(54)
⇒2013年3月25日 (月):自主避難者への支援をどう考えるか?/原発事故の真相(63)

【賠償】
⇒2013年9月14日 (土):損害賠償は実態に即した運用を/花づな列島復興のためのメモ(261)
⇒2011年5月20日 (金):東電の賠償スキームをめぐって/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(33)
⇒2013年3月13日 (水):原発関連自殺の実態/原発事故の真相(58)

【核燃料取出し】
⇒2012年6月22日 (金):原子炉の内部の状態/原発事故の真相(38)
⇒2011年9月14日 (水):静岡空港の廃港と福島第一原発の廃炉

さらに根本的な問題もある。
【核燃料サイクル】
⇒2012年6月11日 (月):電源構成と核燃料サイクル/花づな列島復興のためのメモ(83)
⇒2013年5月18日 (土):「もんじゅ」22年間の運転の実態/原発事故の真相(70)
⇒2012年9月 4日 (火):核廃棄物をどうするか?/花づな列島復興のためのメモ(137)

これらを総合的に推進する原発事故対応庁のような組織が必要なのではないか。

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コメント

安全は大好きだ。神話も好きだ。安全神話作りは得意で、すぐに信じられる。広めるのもたやすい。
我が国の国策は、安全神話と深く関係しているに違いない。
だが、最悪のシナリオを想定するのはひどく難しい。恣意(本音)の人ならそうなる。
これは、平和ボケのようなものか。

太平洋戦争初期に、フィリピンの米比軍はキング少将もジョーンズ少将も投降して、75000人以上の将兵の命を救った。
太平洋戦争後期に、日本軍は米空軍の飛来をゆるし、1945年3月10日未明、東京の下町の江東地区がB29約300機による空襲をうけ、死者10万をこす被害を出した。
日本人の指導者には、作戦の成否を予測する力はないのか。
人命の尊重はどのように考えられていたのであろうか。

それでも日本人は、原発の再稼働を選んだ。
一億総ざんげへの道。動き出したら止まらない。
この道は、いつか来た道。ああ、そうだよ、民族の歴史は繰り返す。

意思のあるところに方法はある。(Where there’s a will, there’s a way).
意思のないところに解決法はない。
意思は未来時制の内容であり、日本語には時制がない。
それで、日本人には意思がなく、解決法が見つけられない。
自然鎮火を待つのみか。成り行き次第。

>親戚のじいちゃんはガ島で地獄を見てきた。
>「あれは決して国のために尊い命を落とす姿じゃ無かった」という言葉を忘れない。
兵卒は優秀。参謀は愚鈍。日本語脳の定めであるか。理不尽に耐える心を養うべきか。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで、もって万世のために太平を開かんと欲す。

不自由を常と思えば不足なし。
座して死を待つか、それとも腹切りするか。
私の父は、玉砕した。何のお役に立てたのかしら。
安らかに眠ってください。過ちは繰り返しますから、、、、

わかっている、わかっている。皆、わかっている。
ああしてこうすりゃこうなると、わかっていながらこうなった、、、、、
十二歳のメンタリィティには、知恵の深さが見られない。教養 (洞察力) がない。
わかっちゃいるけど やめられない。ア、ホレ、スイスイ、、、、

白く塗られた黒いオオカミの足を見破ることは難しい。
だます人は悪い人。だまされる人は善良な人。おとり捜査は難しい。
この調子では、人の命はいくつあっても足りるものではない。
我々は、自らは望むことなく危機に陥る民族なのか。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/


投稿: noga | 2013年9月21日 (土) 23時20分

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