2020年オリンピックが東京に決定/花づな列島復興のためのメモ(257)
国際オリンピック委員会(IOC)が、9月7日(日本時間8日)、2020年の第32回夏季オリンピック競技大会(五輪)を東京で開催することをブエノスアイレスで開かれた総会で決めた。
東京開催は56年ぶりということになる。
日本国としての慶事であり、関係者の尽力に敬意を表したい。
過去にオリンピックが複数回あったのはアテネ、パリ、ロンドン、ロサンゼルスの4都市である。
アテネはオリンピック発祥の地として別格であるが、パリ、ロンドン、ロサンゼルスは、自他ともに認める都市であり、東京もその仲間入りという、よりもアジアで初と言うべきであろう。
前回は1964年、私の大学2年であったことはすでに触れた。
⇒2013年9月 6日 (金):オリンピック招致と福島原発事故/原発事故の真相(82)
2020年まではあと7年である。
開催地東京、とりわけベイエリアがどう変貌を遂げるのか、楽しみである。
平均余命からいえば、2020年に生きている確率は高いとは思うが、想定外のことが起きるのが世の中である。
想像だにしなかった(単に想像力が足りなかっただけであるが)脳梗塞を発症してしまった実績がある。
しかし、発症したことによりかえって健康意識が高くなって、暴飲暴食を慎んでいる。
是非、この目で東京オリンピックを見てみたいと思う。
そして、やはり東京で開催することの意義は大きかったと実感できる大会になってほしい。
1964年の東京オリンピック招致が決定したのは、1959年(昭和34年)5月26日に西ドイツのミュンヘンにて開催されたIOC総会においてであった。
前史として、1940年大会の開催権返上、1960年のオリンピック開催地投票でローマに敗れるという過程を経ての開催だった。
1956年(昭和31年)7月に発表された「経済白書」において、「もはや戦後ではない」と記述され、一種の流行語になったが、招致が決まった1959年は、戦後復興の時代から高度成長への転換を模索していた時代であった。
60年安保で岸信介首相が退陣し、池田勇人に替わって高度成長の時代になる。
1964年のオリンピックは、日本の高度成長路線が定着し、それを象徴するイベントであった。
国家的イベントは、時代の思潮を映し出す鏡となる。
2020年の東京オリンピックのコンセプトはこれから検討されていくことになろうが、東日本大震災からの復興という視点を抜きにしては考えられないであろう。
これからの国のかたちを示すようなコンセプトが求められる。
⇒2011年3月11日 (金):大規模地震で日本国はどうなるのか?
⇒2011年3月22日 (火):津々浦々の復興に立ち向かう文明史的な構想力を
東京オリンピックは、デフレ脱却を目指す安倍晋三首相の政策「アベノミクス」を後押しする経済効果を期待する声が大きいようである。
オリンピックは、アベノミクスの4本目の矢というわけである。
もちろん、経済効果もあるであろうし、あった方がいいと思うが、そろそろ「〇〇の経済効果」でイベントを評価する発想から転換すべきではないだろうか?
1964年の東京オリンピックは「成長の時代」に行われた。
すでに「成長の時代」は終焉し、「成熟の時代」と考えるべきだ、という見方もある。
そのような観点からは、何を指標として考えるべきか?
また、安倍首相は、福島原発汚染水について、「完全にコントロールされているから、絶対に大丈夫だ」と見栄を切った。
各種の報道は、むしろコントロールされていないことを示しているのではないか?
本当に大丈夫なのか、私は、今までの経緯からして不安である。
そして、東京オリンピックは、決して東京のものだけでないことは、招致活動が示している。
東京と日本の各地域の関係はどうあるべきか?
特に、地域的な受益と負担のアンバランスは、福島原発事故や沖縄基地問題に現れている。
安倍政権が具体的な道筋を示しているようには見受けられない。
震災、なかんずく福島原発事故を踏まえ、新しい文明のあり方に意味のある大会であってほしい。
日本文明というものがあるのか?
それはどういう特性を持っているのか?
経済に対比して使われるのは文化であるが、文明と文化の関係は?
そして、東京と他の地域との関係は?
2020年に向けて、どのような論議が交わされるであろうか。
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