田中正造没後100年/花づな列島復興のためのメモ(256)
今日9月4日は田中正造の命日である。
田中正造は、足尾銅山鉱毒事件を告発した政治家として知られるが、天保12年11月3日(1841年12月15日)に生まれ、 1913年(大正2年)9月4日に亡くなった。
足尾銅山鉱毒事件は、日本初の公害事件と言われている。
⇒2012年7月11日 (水):渡良瀬遊水地と福島原発事故/花づな列島復興のためのメモ(107)
福島原発事故の収束の見通しの立たない現在、田中正造の姿勢に学ぶものは多いのではないだろうか。
田中の出身地である佐野市を中心に、さまざまな顕彰事業が行われている。
たとえば、「田中正造翁没後100周年記念顕彰事業実行委員会」が主催する講演会と特別展が、ゆかりの加須市で開催される。
「真の文明は 山を荒らさず 川を荒らさず 村を破らず 人を殺さざるべし」。鉱毒の被害農民とともに闘い続けた田中正造。足尾鉱毒事件で、県内で最も被害を受けたのは渡良瀬川と利根川に挟まれた旧利島(としま)・川辺(かわべ)村(現加須市北川辺地域)。農作物が全滅する事態になり、農民が集団で国会へ請願しようと決起した。
その指導者が田中正造で、両村の遊水地化案が出た際は反対運動に奔走した。正造の死後に栃木、群馬、埼玉各県の六カ所に分骨された墓の一つが、加須市の北川辺西小学校敷地内にある。
講演会は北川辺文化・学習センター「みのり」で午後一時半から、田中正造研究の第一人者とされる小松裕(ひろし)・熊本大学文学部教授(日本近代思想史)が「田中正造の生涯とその思想」と題して講演する。
特別展は、鉱毒事件や正造の生涯を説明する資料、直筆のはがきなどの写真、市内のゆかりの場所などをパネル展示している。十八日まで北川辺スポーツ遊学館、二十日~九月一日は展示を充実させて「みのり」で、九月三~十日は北川辺郷土資料館で開く。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20130816/CK2013081602000147.html
かつて、第三次全国総合開発計画(三全総)において、流域圏が唱えられたことがあった。
Wikipedia-流域圏では次のように解説されている。
三全総(1977年)は、ポスト「日本列島改造論」の計画として、高度成長から安定成長へ、そして田園都市・定住圏構想がテーマとされた。定住圏構想は水系に着目しており「流域圏」構想でもあった。 流域圏構想は、乱開発・高度成長への歯止めも意識したものであったという。しかし、三全総においては思想としては生活と環境との調和を掲げたものの、政策の実施に当たってはなお「開発・経済発展」の思想を引きずらざるを得ず、地方圏もそれを求めた。具体的には交通・輸送基盤や情報通信網が整備の重点とされた。結果的に、「流域圏」構想はごく一部の地域でしか実施されなかった。
世界四大文明が河川と共に誕生したと言われるように、河川の流域と人間生活とは不可分の関係にある。
その、河川の流域および関連する水利用地域や氾濫原などの一定の範囲の地域(圏域)が流域圏である。
水質保全、治山・治水対策、土砂管理や、森林、農用地等の管理などにおいて、地域の共同性は重要であり、共同して諸問題にあたることが必要である。
その観点からは、流域圏に着目した三全総の考え方は正しかったといえよう。
足尾鉱毒事件は、上流-下流の地理的関係が、鉱毒の加害-被害の関係として現れた典型例であろう。
足尾銅山は江戸時代から採掘が行われていたが、1877年(明治10年)に古河市兵衛が経営に着手することになった。
数年間は全く成果が出なかったが、1881年(明治14年)に有望鉱脈を発見、その後産出量を急増させ、20世紀初頭には日本の銅産出量の1/4を担うほどの大鉱山に成長した。
しかし、急激な鉱山開発は公害を引き起こし、下流域の住民を苦しめることとなった。
下流の肥沃な土地であった谷中村は、渡良瀬川が氾濫するたびに鉱毒により大きな被害を受けた。
さらに下流の東京などの都市部を守るため、谷中村を廃村として遊水地とした。
福島第一原発事故は収束どころか、汚染水漏れにより再び深刻な事態を迎えつつある。
「真の文明は 山を荒らさず 川を荒らさず 村を破らず 人を殺さざるべし」という田中正造の言葉は、福島原発事故についてもそのまま当てはまるのではないか。
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コメント
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投稿: クラークス サンダル レディース | 2013年9月17日 (火) 11時06分