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2013年8月13日 (火)

三段階論という方法②菊竹清訓の設計の論理/知的生産の方法(72)

建築設計は、科学(工学)の性格と芸術の性格を併せ持っている。
素晴らしい建築作品は、われわれの感性に強く訴えるが、その構造は緻密な力学計算に支えられている。

菊竹清訓は、戦後建築・デザイン界に大きな足跡を残したメタボリズムグループの中心人物の1人であった。
⇒2012年1月 6日 (金):菊竹清訓と設計の論理/追悼(19)

菊竹清訓は、武谷三男により提唱された科学的認識の三段階論を建築設計の分野に応用して、実践的な設計論を提唱した。
具体的な作品としては、出雲大社庁の舎や江戸東京博物館が代表作といわれる。

出雲大社庁の舎は、1963年の作品で、 日本建築学会賞の作品賞を受賞している。

Photo_2
鉄筋コンクリート打放しの現代建築でありながら、大社の環境とちゃんとした関係を保っている。大社の建築とは必ずしも馴染んでいないが、大社の境内の白砂利敷きの地面と、杉の巨木老木の緑とは合っている。
http://kenchiku.tokyo-gas.co.jp/live_energy/modern/24.php

両国駅の近くに建つ大きな建物が、江戸東京博物館である。

Photo_3
建物は上部と下部に分かれている。上部には常設展示室、収蔵庫、図書室、和風レストランを収め、下部には企画展示室、ホール、ミュージアムショップ、洋風レストランなどを収める。そしてその間がスカッと抜けており、「江戸東京ひろば」と名付けられた屋外空間となっている。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2301F_T20C13A4000000/

菊竹三段階論を、『代謝建築論―か・かた・かたち』彰国社(1969年)によって、概要をみよう。

人間は<かたち>を感覚で捉えることができる。
しかし、<かたち>をより深く知るためには、感覚を裏付ける知識による理解が必要である。
理解はさらに<かたち>についての興味を通じて、その本質的な意味を考えるというところに拡大深化するであろう。

菊竹は、日本語の「かたち=かた+ち」「かた=か+た」という語源的検討や、建築において、目的とか建築種別を越えて「かた」と呼ぶべき空間構造があるあるという認識を踏まえ、設計の論理として以下を提唱した。

設計には認識と実践の2つのプロセスがあって、この2つが複雑にからみあって成り立っている。
これを単純化すれば、認識のプロセスは、
<かたち> → <かた> → <か>
の3段階ですすみ、実践のプロセスは逆に、
<か> → <かた> → <かたち>
の3段階ですすむ。

感覚/現象/形態  … <かたち>/KATACHI
   ↓   ↑
理解/実体/技術   … <かた>/KATA
   ↓   ↑
思考/本質/構想    … <か>/KA

私がビジネスの方法論でもあり得ると思っていることは既に書いた。
⇒2012年1月 6日 (金):菊竹清訓と設計の論理/追悼(19)

コンセプトを具体的なものとしてどう具体化するか?
抽象的に考えれば共通といえるが、個別的・具体的にはそれぞれ異なる。
その兼ね合いが難しい。

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