福島原発事故の新段階/原発事故の真相(79)
福島原発事故は、収束どころか新たな段階に入ったようである。
汚染水タンクからの漏水は、事態が明らかになるに連れ、深刻なものであることが分かって来た。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082190071128.html#print
東京電力は20日、福島第1原子力発電所の地上タンク周辺で水たまりが見つかった問題で漏洩したタンクを特定し、漏洩した汚染水の量が300トンに達すると発表しました。漏洩量は過去最大といい、汚染水からはベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり8000万ベクレルと高濃度で検出されています。漏洩は現時点で止まっておらず、東電は詳しい漏洩箇所や原因などの特定が急務です。政府は8月上旬になってようやく汚染水問題への関与強化を決めましたが、この問題と距離を置いてきた原子力規制委員会とともに遅すぎた対応は東電ばかりではないようです。
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO58746620R20C13A8000000/?dg=1
原子力規制委員会が、国際原子力事象評価尺度(INES)を「レベル3」(重大な異常事象)に引き上げる構えを示した。
INESの尺度は0から7までの8段階。同委員会は当初、この問題を暫定的に「レベル1」(逸脱)と評価していたが、同日の会合で正式な引き上げを検討すると述べた。東日本大震災が起きた2011年3月の原発事故自体には、すでにレベル7の評価が下されている。
同原発からの汚染水流出の問題は、科学者らが1年以上前から指摘していた。
東電は7月、汚染された地下水が海へ流れ出していることを確認。流出を防ぐために地下に壁を設けものの、汚染水が壁を越えたり、横から回り込んだりして海へ流れ込む恐れがあることを認めていた。
今回は、汚染水を貯蔵するタンクからの水漏れが19日に見つかり、その後相当な量が漏出したことや、放射能濃度が非常に高かったことが明らかになっている。
http://www.cnn.co.jp/world/35036210.html
東電単独ではもはや手に負えないことは明らかである。
安倍首相も、「東電任せにせず、国としてしっかり対策を講じる」と表明しているが、深刻さを本当に受け止めているのかどうか。
政府と東電は一体となって汚染水対策に全力を尽くすべきだろう。
国際原子力機関(IAEA)も、福島第1原発で汚染水漏えいが続いている状況を「深刻に」受け止めており、求められれば支援する用意があると表明した。
IAEAのギル・チューダー報道官は電子メールの声明で「日本の当局は原発の状況に関する情報をIAEAに提供し続けており、IAEAの専門家が問題を注意深く見守っている」と指摘。「IAEAはこの問題を深刻にとらえており、要望に応じて支援を提供する用意がある」と表明した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE97K07G20130821
支援してくれる国あるいは組織には積極的に力を借りるべきだ。
事故直後に、政府がアメリカからの支援を断ったと言われる。
支援が廃炉を前提としたものであったので、その時点では時期尚早との判断だったという。
⇒原発事故の発生直後、政府がアメリカの支援断る
民主党の国会議員には東電労組出身者がいる。
労組は民主党、役員は自民党とリスク分散をしていたとも言われる。
東電労組の委員長は、 「裏切った民主党議員には、報いをこうむってもらう」という発言をしたとも伝えられている。
⇒「裏切った民主議員には報いを」 東電労組執行委員長の「恫喝」が波紋
大企業の労働組合は、労働者の共通の利益などには関心がなく、自分たちの私的利益が優先ということだろう。
東電の組合員が、労働者の範疇に入るかどうか議論はあるだろうが、「万国の労働者、団結せよ」というのは昔の話だろうか。
問題のタンクは、ボルトでつなぎ合わせる構造であり、暫定仕様と考えるべきものだろう。
東京新聞2013年8月21日
同じ構造のタンクであれば、当然同様の事故は起きると考えられる。
廃炉まで40年かかると言われている。
もはや手遅れかもしれないが、廃炉までの工程を見据えた対策を講じるべきだろう。
そうすれば、原発に合理性のないことがはっきりするだろう。
それでもなお、原発に依存しようというのだろうか?
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