人口減少時代と加工貿易/花づな列島復興のためのメモ(254)
総務省が28日、住民基本台帳に基づく3月末時点の人口動態調査結果を発表した。
日本人の総人口は1億2639万3679人と、4年連続で減少した。
死亡数が出生数を上回る自然減は過去最大を更新している。
このような人口のトレンドは、短期的にはどうしようもない。
国土交通省の「国土の長期展望に向けた検討の方向性について」によると、日本の人口は2004年の1億2784万人がピークということだ。
今後100年間に100年前(明治時代後半)の水準に戻っていく。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20111118/201698/
100年かけて増大した人口が、100年かけて減少していくわけであるから、不思議と言えば不思議、そんなものかと言えばそんなものと言えないこともない。
過去はどうだったのか?
超長期的な人口推移については正確な人口統計があるわけではないが、現代社会研究所所長・青森大学社会学部教授・古田隆彦氏の図を見てみよう。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/16/index1.html
古田氏は、日本列島には過去5回の波動があったという。
まず第1は約4万年前の「石器前波」(人口は3万人)。第2に紀元前1万年前から始まる「石器後波」(30万)。第3に紀元前300年からの「農業前波」(700万人)。第4に西暦1400年から江戸時代まで含む「農業後波」(3300万人)。そして第5に1830年から現代まで続いた「工業現波」(1億2700万人)です。
古田氏は、これらの5回の波動は日本列島の人口容量の変化を示しているという。
つまり、列島の自然環境の利用の仕方(≒文明のカタチ)によって、人口容量が変わる。
具体的には、石器文明、農業文明、工業文明のそれぞれの文明の人口容量が限界を迎えると、人口は停滞や減少を始める。
太平洋戦争後、加工貿易文明によって得た新たな人口容量により、急激に人口を増やしてきた。
その前提条件は、工業製品の方が農業製品より高いということであった。
ところが、1993年以降、小麦、米、とうもろこしの国際価格は上昇する一方で、安い工業製品が日本に流れ込むようになった。
人々は今後に対する漠然とした不安を抱くようになっている。
人口は社会の余裕があるときには常に増加し、余裕がなくなると本能的な人口抑制装置が作動する。
アベノミクスやTPPの賛成派には、加工貿易で生きてきた人たちが多いような印象である。
そのシンボルが、タヌキのような経団連の会長ということになろうか。
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