1人当たりGNI150万円増は可能なのか/アベノミクスの危うさ(11)
7月の参院選は自民党の圧勝という結果に終わった。
アベノミクスが信認されたということであろうが、信認されるということと、結果がうまく行くということとは別である。
アベノミクス自体、本命の成長戦略はこれからである。
アベノミクスに対する国民の支持が高いのは、たとえば、「1人あたり名目GNI(国民総所得)を10年後に150万円以上拡大する」という言葉が、「そうであるならば」とその気にさせているのではなかろうか。
このフレーズが誤解を招きやすいレトリックであることはすでに触れた。
⇒2013年7月19日 (金):GNIとGNP/「同じ」と「違う」(59)
それはそれとして、果たして「1人あたり名目GNI(国民総所得)を10年後に150万円以上拡大する」ことは現実性があるだろうか?
東京新聞7月17日に、解説記事が載っている。
上図で見るように、「GNIを150万円/人アップするためには、3%/年の上昇を、10年間継続する」ことが必要である。
しかるに、失われた20年の間、3%を越えたことは一度もない。
常識的に考えれば、よほどのイノベーティブな施策がなければ難しいだろう。
「異次元の金融緩和」自体は、直接は実体経済とは無関係である。
念の為、1人当たりGDP(PPP:購買力平価基準)のランキングの推移は以下のように推移してきた。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4542.html
やはりハードルはかなり高いと言わざるを得ないだろう。
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