東京電力のPRの姿勢/原発事故の真相(75)
福島原発事故による汚染水の流出が深刻だ。
⇒13年7月28日 (日):高濃度汚染水対策を急げ/原発事故の真相(74)
東電は、「海への汚染は限定的」と強調するが、その言葉とは裏腹に状況が分かれば分かるほど由々しき事態であることが明らかになりつつある。
この期に及んでもなお、東京電力の広報は誠実な姿勢で国民に向き合おうとしていないようである。
広報、すなわちPRというのは、public relationsの略であるはずである。
PRの解説をみると、次のようにある。
パブリック・リレーションズ(英語:public relations、略称:PR)とは、個人ないし国家や企業その他の組織体で、持続的または、長期的な基礎に立って、自身に対して公的な信頼と理解を獲得しようとする活動のこと。宣伝活動または広報活動のことでピーアールと主に呼ばれている。
パブリック・リレーションズ - Wikipedia
東電の広報には、「自身に対して公的な信頼と理解を獲得しよう」とする姿勢がみられない。
「分かるように伝え」なければならないことは、コミュニケーションに基本であるはずである。
しかし、わざわざ難解な用語を使って、伝わりにくくしているのだ。
例えば、「PCVから大気へのアウトリーク」と言われて、すぐに状況が思い浮かぶ人は、よほどの専門家ではなかろうか。
どういうことかと言えば、「格納容器から、内部の気体が外部に漏れている」ということらしい。
格納容器の内部には、大量の核燃料が存在することは広く知られている。
そこから外部に漏れているということは、危機的状況ということだろう。
幸いにして、漏れている気体の中の放射性物質は微量のようである。
しかし3号機原子炉建屋から発生している湯気の発生原因の説明としては、明らかに事態を軽微なものに思わせようという意図が丸見えである。
汚染水の海への流出の問題も同様である。「地下水が開渠内の海水と行き来している」という表現で、海に汚染水が漏出していることを理解しろ、というのは常識的ではない。
東京新聞7月30日
危機的事態ならば、よけい分かりやすく伝えるべきだ。
私は東電の広報のあり方から、地震発生当時の官邸のや東電の発表を連想せざるを得なかった。
⇒2011年3月15日 (火):地震情報と「伝える力」
⇒2011年3月16日 (水):『日本沈没』的事態か? 静岡県東部も震源に/因果関係論(9)
⇒2011年3月25日 (金):原子力安全・保安院(NISA)のミッションについて
⇒2011年3月29日 (火):不確かな情報の開示の仕方
⇒2011年4月17日 (日):原発報道の大本営発表/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(9)
東電の広報は、情報をわざわざ分かりにくくしている。
いわば迷彩を施していると言ってよい。
迷彩 - Wikipediaによれば、次のような説明が載っている。
敵の目を欺くためのカモフラージュ技術の1つで、表面に塗装や染色などされた模様である。装備等への塗装による迷彩を迷彩塗装、迷彩が施された服(特に戦闘服)を迷彩服と言う。
自衛隊の戦闘服に使われている以下のようなパターンは馴染みがある。
情報の迷彩を施したものが暗号である。
セキュリティの問題から暗号技術は重要になっており、高度化・複雑化している。
古典的な暗号としては、シャーロック・ホームズのシリーズにおける『踊る人形』がある。
下図のような、一見すると何の意味がないような人形の絵が、メッセージを伝えるものだったという内容である。
暗号は、そのルールを知っている人だけに意味を伝えるものである。
一般の人には、その意味が分かりにくいものほど良くできた暗号ということになる。
東電の広報は、広報する相手を、「敵」だと認識し、自分の行為を「カモフラージュ」しようということだろうか。
公に自分の信頼と理解を得るどころか、不信感の種を蒔いているようなものだろう。
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