ビッグデータ・ブームは本物か/知的生産の方法(66)
ビジネスの世界で、「ビッグデータ」という言葉が一種の流行語になっているようである。
今までの大量データと区別して「ビッグデータ」というのは何故か?
「ビッグデータ」の特徴は何か?
世紀の変わり目の頃、「IT革命」という言葉が流行した。
当時の首相が「イット革命」と言ったそうである。
世界中で爆発的にインターネットの普及が進んでいた2000年、森政権下でも国を挙げてIT産業を盛り上げようとしていた。その頃、ズバッとひと言。
「イット革命」
仮にも一国の首相である。意図しての“読み間違い”に違いない。いや、そう信じたい。そのお陰でこの言葉は光通信以上の速さで全国に伝わり、ITに対する国民の認識を広げてくれた。
http://getnews.jp/archives/264067
その後、ITという言葉に替わって、ICTが使われるようになっている。
ITはInformation Technologyの略であるが、ICTはInformation and Communication Technologyの略である。
コミュニケーションが加わった分、他者との共同性がより意識されているのかも知れない。
ICTの発展・普及の背景には、「ムーアの法則」と呼ばれる半導体の進歩に関する経験則がある。
一般には、集積回路上のトランジスタ数は「18か月ごとに倍になる」。
Wikipedia-ムーアの法則
具体的には以下のような結果が示されている。
http://jp.fujitsu.com/solutions/convergence/bigdata/
データは意味を持ってこそ価値が出る。大量のデータも、そのままでは無価値である。
大量のデータからどういう意味を引き出すか。
そのために必要な技術は、超並列データベース、データマイニング、グリッド、分散ファイルシステム、エンタープライズサーチ、クラウドコンピューティングプラットフォーム、インターネット、大規模記憶装置などであると言われる。
また、これらの技術スキル、機械学習などの数学や統計を用いたデータからの学習(意味の取り出し)スキル、などを持つデータサイエンティストと呼ばれる人材の確保、育成も必要になる。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20120207/380351/
かつてドラッカーは次のように言ったことがある。
新しい情報革命は、データの処理にかかわるものではなく、情報のコンセプトにかかわる革命である。
これまでITはT(テクノロジー)を中心としていたが、これからはI(情報)に焦点を合わせたものとなる。
ビッグデータが流行現象の1つに過ぎないか、社会に対し本質的な影響をもたらすかの岐路はその辺りにあるのではなかろうか。
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コメント
突然訪問します失礼しました。あなたのブログはとてもすばらしいです、本当に感心しました!
投稿: レイバン | 2013年7月22日 (月) 17時05分