衆参のねじれが解消されて参院の存在意義は?/花づな列島復興のためのメモ(247)
参院選の投票日である。
投票締め切り直後の20::00には、自民・公明の与党圧勝が報じられた。
事前の予測は、自民党の圧勝というものがほとんどであった。
週刊現代7月27・8月3日合併号
最終結果はほぼこの線になるのであろう。
何も波乱は起きなかったということである。
結果として、「ねじれ構造」が解消されたということである。
つまり、政権与党にとって、政策推進上の障害はなくなったということである。
それで、参議院の役割はどうなるのであろうか?
かつては良識の府といわれ、それなりの存在感を持った院であった。
しかし、現在は衆議院との差別化がなくなっているのではないか。
改めて、存在意義が問われることのなろう。
私などは、参議院といえば緑風会を想起する。
緑風会は、1947年(昭和22年)4月の第1回参議院議員選挙で無所属で当選した山本勇造(有三、『路傍の石』などで知られる作家)らが中心になって結成された。
5月20日に第1回参議院本会議が召集されると、緑風会は92人となって、最大勢力となった。
10月20日には、田中耕太郎の草案を元に、綱領を制定した。
緑風会は基本的に保守政党に協力したが、参議院のみの会派であり、衆議院に候補を立てることも、政権獲得を目標とすることもしなかった。
法案に対しては、「是々非々」を旨とし、与党にいる間も含め、党議拘束を設けなかった。
そのため、同じ法案に緑風会から賛成、反対両方の討論を行ったこともある。
山本は、「緑風会」の名の由来を次のように説明している。
・緑風会が発足したのは暦の上では初夏であり、また日本国憲法公布後の初の国会(第1回参議院本会議)が召集されたのは5月20日である。緑風の名は夏風にふさわしく、新しい国会発足を象徴するにもふさわしいこと。
・緑は七色の虹の中央に位置することから、右にも左にも傾いていない。さらに、清新・静寂・平安・沈思を連想させる色であり、第二院である参議院の性格に通じるばかりでなく、会の精神を暗示していること。
・国会に新鮮な風を送り込みたいという希望を持ったこと
今回の選挙でも「みどりの風」と「緑の党グリーンズジャパン」が候補者を立てている。
緑はエコロジーのシンボルカラーであるが、確かに山本のいうように、虹の7色の中央に位置している。
⇒2013年6月26日 (水):言葉はデジタル/知的生産の方法(63)
私は、参議院のモデルの1つはこの緑風会ではないかと思う。
政党化のトレンドによって緑風会は消失した。
しかし、衆議院は政党、参議院は政党の枠を超えて、議員個々人が自分の信念に基づいて行動するということがないと、2院制である必然性が良く分からない。
政党の決定のままに行動するから「ねじれ構造」が問題になるのである。
現実に多くの争点があるなかで、特定の政党に100%満足して投票することはあり得ないのではないか。
東京新聞7月20日
やむを得ず消去法で選ぶことになるが、投票率が低くなるのも分かるような気がする。
この選挙結果によって、たとえば原発の再稼働に向かうのであろうか?
電力各社は原発再稼働を一斉に申請している。
安倍首相も再稼働に前向きである。
⇒2013年6月29日 (土):原発再稼働と安倍政権/花づな列島復興のためのメモ(238)
もちろん再稼働するまでには紆余曲折が予想されるが、ゴミの始末の仕方が決まっていないのに稼働させようというのは、正気の沙汰とは思えない。
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