アイデンティティなき民主党の末期/民主党とは何だったのか(11)
民主党が菅元首相の処分をめぐって、揺れている。
民主党は24日、常任幹事会を2時間半にわたって開いたが、菅直人元首相の処分問題に関する結論を持ち越した。党執行部は参院選の東京選挙区で、公認を取り消した無所属候補を菅氏が支援したことを「重大な反党行為」と問題視し、海江田万里代表が常任幹事会に先立って菅氏と会談した。菅氏本人が出席した常任幹事会で結論は出ず、選挙で惨敗した民主党の混乱はおさまりそうもない。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2401M_U3A720C1000000/
いよいよ民主党の寿命が尽きようとしていると思った人は多いだろう。
最後くらい立派な姿を残してもらいたいと思ったが、命の終わるときはこんなものなのだろうか。
4年前、圧倒的な支持を得て政権交代を果たしたことが、夢幻のように思われる。
民主党が政権交代を果たした時、出自も思考も異なる3人が中枢にいた。
鳩山、菅、小沢の3氏であり、トロイカ体制と呼ばれた。
鳩山氏は政界を引退したが、TPOをわきまえない発言で物議を醸している。
小沢氏は、民主党と袂を分かったが、衆院選・参院選を経て、昔日の影響力を失っていることが明らかであろう。
そして菅氏である。
細野幹事長は、ツイッターに「この二人を乗り越えない限り、民主党に未来はありません。惨敗の総括も、自己否定を伴います」と書いたそうだが、「この二人」とは菅氏と鳩山氏のことである。
海江田-細野の執行部は、菅氏が離党を受け入れなければ除籍(除名)処分も辞さない構えだったが、菅氏が自らアクションを起こすことは考えていないとして、常任幹事会での議論となった。
常任幹事会では、出席者から、「除名はひどいのではないか」との意見もあって、週内に再度、常任幹事会を開いて対応を最終決定する、としている。
ちなみに菅氏を擁護したのは、岡田克也最高顧問、横路孝弘元衆院議長、江田五月元参院議長らだという。
いずれも、かつて民主党の顔であった人たちである。
今や民主党には凝集力がまったく働いていない状態といえよう。
それにしてもお粗末ではあるが、そもそも公示日2日前の大河原雅子候補の公認取り消しということが、政党として如何なものか、ということであろう。
公認を取り消された大河原氏が納得せず(言い換えれば、説得できず)、無所属で出馬した。
菅氏は、原発ゼロや改憲反対などを掲げる大河原氏の主張が、鈴木氏の政策より民主党の公約に近いとして、街頭演説などで応援を続けた。
2人の主張は以下のようである。
東京新聞7月25日
「民主党の公約」というよりも、菅氏の考え
に近いというべきだろう。
そして、共産党や生活の党などにも近いであろう。
小沢氏率いる生活の党の政策は、意外に(?)共産党に近いのである。
⇒2013年7月21日 (日):衆参のねじれが解消されて参院の存在意義は?/花づな列島復興のためのメモ(247)
小沢氏のイメージは、共産党とそぐわないのであるが。
民主党執行部は、「苦渋の選択」で、大河原氏ではなく鈴木氏を公認した。
民主党が共産党のように民主集中制を謳っているのかどうかは知らないが、政党の機関決定であればそれに従うべきであろう。
大河原氏の主張と鈴木氏の主張が二者択一だとすれば、明白な路線の違いということになる。
そうであれば、菅氏は、やはり離党すべきであり、自ら離党しないのであれば除名処分もやむを得ないのではないか。
その場合、岡田克也最高顧問、横路孝弘元衆院議長、江田五月元参院議長らはどう考えているのだろう?
おそらく心情的に菅氏と苦楽を共にしてきたことから、「除名はひどいのではないか」というような擁護論になったと思われるが、そこははっきりと、路線(未来図)が違うことを認識しなければ、どちらの側も将来はない。
ところで、結果論であるが、両候補の得票数は以下のようであった。
合計票の789,667票は、最下位の自民党の武見敬三候補はもちろん、共産党の吉良氏や無所属の山本氏よりも多い。
単純な計算通りにはいかないだろうが、分裂のイメージも避けられたということを考慮すれば、民主党の候補の得票数がさらに上乗せされていた可能性だって十分に考えられる。
自民党の圧勝をもたらしたのは、民主党の政党としての統制の無さであるといえる。
しかし、もともとアイデンティティなき寄せ集めの党だったからなあ。
⇒⇒2011年3月 1日 (火):「民主党A」と「民主党B」について/民主党とは何だったのか(3)
⇒2013年1月13日 (日):綱領なき悲喜劇-繰り返された内ゲバとまやかしのマニフェスト/民主党とは何だったのか(8)
⇒2011年8月24日 (水):綱領なくして漂流する民主党の出口戦略を問う
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