物価上昇はハッピーな事態なのか?/アベノミクスの危うさ(10)
安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、デフレ脱却が最大の眼目である。
デフレスパイラルといわれるような状況が好ましくないことは、多くの人のコンセンサスであろう。
⇒2013年7月 1日 (月):金融緩和の効果と影響-アベノミクスの危うさ(8)/花づな列島復興のためのメモ(239)
アベノミクスの効果であろうか、6月の消費者物価指数が、前年同月比で1年2か月ぶりにプラスに転じた。
東京新聞7月27日
2009年以来、基本的には前年同月比でマイナスであった。
すなわち継続的な物価の下落であり、デフレであったのが、脱却できたのか?
その前に、この消費者物価の上昇の内訳をみてみよう。
物価上昇は円安を受け、電気料金など光熱費が大幅上昇したことが主な原因である。
同上
上図を見れば、上昇しているのはエネルギー関連品目である。
電気代の前年同月比上昇率が9.8%、都市ガス代も4.7%であり、共に5月に引き続いてさらに上昇率が大きくなっている。
灯油とガソリンも、5月は前年同月比が横ばいに近かったのが、6月はかなり大きく上昇している。
円安による原料の輸入コストが上昇したためであろう。
円安は、日本経済にどういう影響を与えるか?
端折っていえば、輸出側にとってはプラスであり、輸入側にとってはマイナスである。
そして、輸出は大企業に多く、輸入のマイナスを受けるのが、家計や中小企業である。
現状は、輸入物価の上昇→家計の圧迫→消費の冷え込みという面が出ているように思える。
⇒2013年7月 2日 (火):円安は良いことか?/アベノミクスの危うさ(9)
デフレの主因は、デジタル家電の価格低落といわれる。
ところが、テレビのマイナス幅が5月に比べて4.1縮小している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013072702000136.html
ただ、需要は伸びておらず、デフレ克服が進んでいるとは言い難いといわれる。
物の需要は、よほど革新的な製品が供給されないかぎり、限界がある。
物価上昇を喜ぶのは早計のようである。
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