色の名前/知的生産の方法(64)
家の書棚にあった『週刊 日本の歳時記 10 明け急ぐ夜』をパラパラと拾い読みをしていたら、今の時季が緑色系の季節によく馴染むことを知った。
近くの三嶋大社には、夏越の祓いのための「茅の輪」が設えてあるが、その茅の色が深い緑である。
上掲歳時記の巻末に「色の名前」という連載記事がある。
6月17日発売号だったこの巻は「苔色」であり、「水無月の長雨にうたれて青さを増す緑」というキャプションが付いている。
今年は梅雨入り宣言をした後、なかなか雨が降らず空梅雨の感じだったが、今週はかなりまとまった雨量があったのではなかろうか。
苔も雨の中で一際緑色が冴える。
京都の名刹・西芳寺は、別名の苔寺の方が有名であろう。
http://teienmeguri.kyotolog.net/
この見事な苔は、紅葉のときは以下のようになる。
http://photograph.pro/wallpaper/11114544_FHD.html
四季のある日本という国の恵みである。
私も久しく訪れていないが、40年ほど前から予約しなければ拝観できないようになった。
写経が義務である。
苔の保護のためには致し方ないのだろうが、私のように無計画な人間には面倒なことではある。
もっともそのバリアが来訪者を抑えるのは、世界文化遺産の登録が決まった富士山の入山料と同じことであろう。
⇒2013年6月23日 (日):富士山世界遺産登録を寿ぐ/花づな列島復興のためのメモ(234)
京都といえば、この間訪れた東福寺の「青々とした緑」の印象が新しい。
⇒2013年5月 9日 (木):東福寺の「青々とした緑」/京都彼方此方(6)
この「青々とした緑」について、以下のような解説があった。
もともと「みどり」は、みずみずしさを意味する語であったという。新生児を「みどりご」とよび、艶やかな黒髪を「みどりの黒髪」というのは、そのためだ。これに漢名の「緑」をあて、公式の色名としたのは平安時代で、律令の施行細則を記した「延喜式」には深緑、中緑、浅緑、青緑の名がみえる。
ところが古代日本では、寒色系の色を総じて「青」とよんだ。よって、緑色も通俗的には「青」であり、逆にかさねの色目にみえる「青」は、実は緑色をさしている。青山、青田、青葉といった言葉は、緑色を「青い」と形容した名残である。これで「青々とした緑」という表現にも合点がいく。
確かに合点がいった。
同書には、伝統の色として下記が示されている。
左から、「青緑」「緑・翠・碧」「苗色」「草色」「苔色」である。
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