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2013年6月 8日 (土)

「親鸞/完結篇」への期待

五木寛之さんの『親鸞』の完結篇が来月から掲載になる。
第一部、第二部を経ての完結篇である。
私はこれまでの部分を読んでいないが、これを機会に平行になるだろうが、読んでみようかと思っている。

それにしても親鸞というのは不思議な人物だ。
私が何らかの形で影響を受けた吉本隆明氏、古田武彦氏が共に親鸞を対象としたことがある。
先ごろ亡くなった三国連太郎氏も、自らメガホンをとって映画化した。
⇒2013年4月16日 (火):存在感の際立った「怪優」・三國連太郎/追悼(30)
これらの方々を惹きつけた親鸞の魅力はどこにあるのだろうか?

親鸞は法然の弟子である。
法然は、1133年に生まれ、1212年に没した。
親鸞は1173年生まれ、1262年没であり、親鸞は法然より40年遅い生まれである。
⇒2013年5月11日 (土):鴨長明『方丈記』/私撰アンソロジー(21)

法然の誰でも死後には必ず浄土に迎えられるという教えは、当時の支配階級あるいは既存仏教と衝突するものでもあった。
⇒2012年3月13日 (火):五木寛之と親鸞の思想/花づな列島復興のためのメモ(38)

2人の生きた時代は、鎌倉幕府成立の前後である。
変動の激しい時代であった。
「親鸞/完結篇」の案内を見てみよう。
親鸞の生涯は「35歳までの京都時代」「流罪となった越後や関東での生活の時代」「60歳をすぎてから亡くなるまでの晩年の京都時代」の3つに分けられる。
Photo

完結篇は、晩年の京都時代になる。
権力の所在が貴族から武士へ大きく動いたが、同時に地震等の天変地異が多発したことは『方丈記』の記すとおりである。
『方丈記』に出てくる地震は、文治地震ではないかと言われている。

文治地震は、元暦2年7月9日午刻(ユリウス暦1185年8月6日12時(正午)頃、グレゴリオ暦1185年8月13日)に日本で発生した大地震である。
地震は元暦年間に発生したが、この天変地異により後の8月14日に文治に改元されたので、文治地震と呼ばれる。
中世の日本においては合戦や政変によるものより、地震や疫病流行など自然現象のもたらす災害による改元の方が多かった。
つまり、改元(「空気」を変えるために元号を変えることが行われた)するくらいの地震だったということである。

このような大きな影響を与えた災害が、仏教を大衆的なものに改革する変革者としての法然や親鸞を生んだ。
またその一方で、無常観に満ちた鴨長明の『方丈記』を生んだといえよう。
稀有のストーリーテラーの五木氏が描く親鸞像はどのようなものになるのであろうか、楽しみである。

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コメント

はじめまして、ブログ楽しく読ませて頂きました。
私はFXでシステムトレードとスワップをメインにしている坪江といいます。
ほんと歴史はすごいですね、勉強になります^^

投稿: 坪江 | 2013年6月 8日 (土) 23時06分

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