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2013年6月13日 (木)

「飛ぶボール」釈明の不可解/花づな列島復興のためのメモ(229)

「飛ぶボール」について、日本野球機構(NPB)の加藤コミッショナーが、記者会見する様子をTVで視聴していて、驚いた。

 会見の冒頭、加藤コミッショナーは統一球の仕様を変更していたことについて謝罪した。「私を含めボールの変更はないと説明してきたが、実際には(コルク芯を覆う)ゴムの成分に変化があった。選手の皆さま、球団の皆さま、関係各位におわび申し上げます」。ここまでは普通の謝罪会見だった。だが、その後は、驚くような釈明が続いた。
 理解に苦しむような食い違いだった。前日、下田事務局長は「コミッショナーには相談して進めていた」と、コミッショナーの了承を得ていたと明かした。しかし、加藤コミッショナーは「私は昨日まで全く知りませんでした。(下田事務局長から仕様を変更する)経緯、経過、説明を受けたという認識はありません」と、関与を真っ向から否定し、下田事務局長の独断だったと説明した。
 加藤コミッショナーは今季本塁打が増えたことについても「疑問はありませんでした。選手の能力に信頼を置いているし、工夫したというのもあるのだろうと思った」と話し「知っていれば公表していた」と繰り返した。結果的には組織のトップとして「ガバナンス(統治)」の問題を認めただけ。「批判には値すると思うが、隠蔽(いんぺい)ではない」「不祥事だとは思っていません」など、開き直りとも受け取れるような言葉を連発した。
 もう1つ不可解だったのは、井原事務局次長が公表した経緯と事実関係の説明。前日に報道陣に対して下田事務局長が発言した内容とは大違い。下田事務局長は、前日に発言した内容のほとんどを修正、または撤回する形となった。これについて、下田事務局長は「確かに昨日はそういう趣旨の発言をしたが、私も(記憶が)混乱していた。コミッショナーにご迷惑をかけた。すべて私の責任です」と、頭を下げ続けた。さらに、下田事務局長は進退について「コミッショナーの判断にお任せしますが、私の心の中では当然考えている」と、辞任を示唆した。

http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20130613-1141707.html

下田事務局長は、まるで殿をかばって、一切の責任を負おうとする武将のようではないか。
コミッショナー (commissioner) とは、組織における最高の権限を有する責任者であると説明されている。
NPBのコミッショナーは素人のようであるから、実務的なことにはタッチしていないのかも知れない。
だが、これを不祥事と言わずして何を不祥事というのだろう。

こういう問題で個人の履歴等を持ち出したくはないが、余りに他人事のようであって、当事者意識に欠けていると思われるので、人物像を探ってみた。

成蹊高等学校を経て東京大学法学部を卒業。1965年(昭和40年)に外務省入省。
・・・・・・
駐米大使としては戦後最長となる6年半に亘る任期を務め上げ、日米関係の発展に尽力した。アメリカのシンクタンクは加藤の功績を称えて「加藤良三記念賞」を創設した。
・・・・・・
2008年7月、日本野球機構のコミッショナーに就任(根來泰周代行の後任)。
野球に造詣が深く、公邸にはサインボールなどのコレクションを100点以上展示していた。駐米大使時代はブッシュ大統領に堂々と「野球のファンだ」と言い切り、2002年にソフトバンク監督王貞治とコリン・パウエル国務長官との会談の席を設けるなど野球外交を展開。ワールド・ベースボール・クラシックや大リーグで始球式を務め、日米のホームラン王であるハンク・アーロンと王を日本大使公邸に招いてパーティーを開くなど、野球界に広く通じていた。
Wikipedia-加藤良三

まあ、エリート中のエリートである。
「野球界に広く通じていた」とはいうものの、選手やファンの心理には「広く通じては」いなかったのだろう。
昨季までの「飛ばないボール」は加藤氏主導で採用が決められたという。
そのメンツがあって、「変えた」と言えなかったのだろうか?

記者会見で、加藤氏は、混乱を招いたことについて謝罪する一方で、加藤氏主導で変更が進められていたという下田事務局長の主張に対して「昨日まで全く知りませんでした」と真っ向から否定した。
せめて部下の不始末があっても、自分の責任であると言い切る上司に仕えたいと思う。

それにしても、統一球(飛ばないボール)と飛ぶボールの差はごくわずかである。
Photo
静岡新聞6月13日

トップ級の選手たちがギリギリの条件でゲームをしているのが分かる。
だからこそ、透明性を確保して欲しかった。

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