清少納言『枕草子』/私撰アンソロジー(24)
昨日が夏至。
これから、昼の時間は短くなり、夜は長くなっていく。
しかし、実際に体感するのは、これからが夏本番で、また猛暑か、省エネか、ということである。
夏の季語として、「短夜」がある。
文字通り、夜が短いのが夏の特徴だ。
夏としては、その夜がが一番だ、というのが清少納言の主張である。
何の根拠も示されていない。
論理的とは言えない。
論理的な思考としてよく解説されているのは、三角構造である。」
工藤順一「国語専科教室」
清少納言『枕草子』は、「根拠」を示さない。
どういう思考の道筋でそう考えたのかはどうでもいい。
とにかく「夏は夜」なのだ。
「具体例」は、「蛍が飛び違うさま」であろうか。
確かに夏の風物ではあるが、それだけでは十分とは言えない。
ちなみに、「春はあけぼの」「秋は夕暮れ」「冬はつとめて」である。
きっぱりと、自分の好みを主張している。
松岡正剛氏は、「千夜千冊・枕草子」で、切れ味よく。次のように解説している。
清少納言の話題はほとんど「好み」に類する。何が好きで何が嫌いなのかをはっきりと言う。そのときすばやく比較を入れる。これはのちのちの数寄の文化の先駆ともいうべきで、「好み」の「取り合わせ」がさすがなのである。それが世事に速く、ファッショナブルで、かつそれでいて大胆に斬る。
リストのあげかた、それを答える手順、順序、序破急、守破離が巧みなのである。わかりやすい例でいえば、猫は背中全体が黒くて腹が真っ白なのがいいと書いたあと、雑色や随身はちょっと痩せて細身なのがとてもよくて、あまり太ると眠たくていけないなどと続け、小舎人童(ことねりわらわ)は髪の先がさっぱり落ち細って、やや青みがかっていると色っぽい、などと付け加えるのだ。こんなコメンテーターはめったにいない。
私の記憶では、1970年代まではまだ自然の中で蛍を見る機会があった。
最近では、「ほたる祭り」などのイベントでしか見る機会がない。
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