静岡県知事選の結果と浜岡原発/花づな列島復興のためのメモ(232)
静岡県知事選の最終的な結果が判明した。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20130617/CK2013061702000094.html
注目すべきは、川勝氏が自民党の支持した広瀬氏の3倍以上の投票数を獲得したことである。
投票率は50%を割る低率だったが、川勝氏の得票数は2001年の石川嘉延氏の102万余票を上回り、戦後の知事選で最多だという。
川勝氏は連合静岡をはじめ、民主党やみんなの党の県選出国会議員らの支援を固めた。
一方、元多摩大教授の広瀬氏を擁立した自民党県連は「参院選の前哨戦」と位置付け、党幹部も応援に入ったが、歯が立たなかった。
自民党本部が推薦ではなく支持にとどめたのは、今春以降の地方選で取りこぼしが多く、静岡も情勢不利と見たからだという。
静岡県では昨年の衆院選で、自民党は8つの小選挙区で6勝2敗だった。
2敗の選挙区は、細野豪志、渡辺周氏が当選した選挙区であるが、両方とも自民党候補は比例当選している。
本来なら、直近の力関係では自民が圧倒している。
しかし、なぜこれだけの大差がついたのか?
自民党の石破茂幹事長は、16日夜、「準備不足と知名度不足に尽きる。内閣や自民党支持率が高くても準備不足だと、このような結果に終わるのは当然だ。大きな戒めになる」と語った。
一方、東北大大学院情報科学研究科の河村和徳准教授は原発推進、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加決定などが関係自治体に反発を広げていると指摘。「そうした不満が原因で自民党が敗れたケースもある」と分析する。
4月以降、自民党が推薦や支持をした市長選で、4分の1で負けている。
名古屋市やさいたま市といった政令市長選で敗北している。
河村たかし名古屋市長は早速、浜岡原発の廃炉について、川勝知事に連携を持ちかけている。
16日投開票された静岡県知事選で、現職の川勝平太氏(64)が再選したことを受け、名古屋市の河村たかし市長は17日の定例記者会見で、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)を廃炉にし、御前崎へ火力発電所を建設することを実現させるため、川勝氏に連携を働きかける考えを明らかにした。
河村市長は「雇用が守れる」などとして、御前崎への火力発電所の建設を主張しており、この日の記者会見では「中部地区が原発のリスクのない地域になると、そちらの方が経済的にも意味がでかい」などと語った。連携に関しては、浜岡原発が立地する周辺自治体の首長らも交えて組織を作ることを検討しているという。
また、川勝氏が実施を掲げる原発再稼働の是非を問う県民投票については「大変いいんじゃないか。ぜひやってほしいと思う」と改めて支持する意向を示した。
http://mainichi.jp/select/news/20130617k0000e040167000c.html
浜岡原発の再稼働問題は、争点がはっきりしない県知事選の中で、わずかに対立軸らしきものであった。
再稼働の是非を問う住民投票実施に、川勝氏は積極的、広瀬氏は消極的だった。
これまでは内閣、自民党支持率が高く、平均株価も上昇基調にあった。
首長選で、自民党が推す候補が敗北すると、「中央での好景気が地方に浸透していない」と分析されてきた。
しかし、5月23日以降、日経平均株価が乱高下を繰り返し、内閣支持率も緩やかな下降線をたどり始めた。
県知事選のトリプルスコアという結果には、こうした最近の状況の影響もあるのではないか。
アベノミクスの「3本の矢」を射てしまったが、市場の反応は「出尽くし感」の方が強いようである。
安倍氏は、原発再稼働に積極的だが、それが命取りになるような気がする。
⇒2013年2月23日:東京都は太陽光利用でイニシアティブを取れるか?/花づな列島復興のためのメモ(194)
⇒2012年12月29日:安倍政権と原発政策/花づな列島復興のためのメモ(179)
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