憲法の硬性と弾力性/花づな列島復興のためのメモ(212)
今年は例年になく憲法改正論議が高まっている。
もちろん、安倍首相率いる自民党が改正を党是としていることと、衆院で圧倒的多数を占めている現下の状況が絶好のチャンスであるから、ということであろう。
改憲というテーマは、自民党にとっては1955年の結党以来のものである。
東京新聞2013年5月3日
憲法改正は、最終的には国民投票を経て行われる。
http://www.yoakenonippon.com/law/
改憲に対する主要政党のスタンスは下表のようである。
http://www.yomiuri.co.jp/election2005/feature/0004/fe_004_050903_01.htm
国民投票には、国会が憲法改正を発議する。
その要件が憲法96条に定められている。
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
これについて、自民党や日本維新の会などは、改正して要件を緩和すべきだとしている。
民主党は、反対の方向で党内の意見をまとめる考えのようでり、連立与党の公明党は、具体的な改正の中身と合わせて議論すべきだとして、慎重な姿勢を示している。
生活の党は、改正に反対であり、維持すべきだとしている。
各党それぞれといったところだが、96条を改正して、発議のハードルを低くすることは是か非か?
私は憲法が国の形を定める根本であるならば、基本的には硬性であるべきだろうと考える。
今の国政選挙の状況を見ると、いわゆる風の吹き方次第で、各党のシェアが大きく変わる。
それと連動して憲法が変わるのではきわめて不安定になる恐れがある。
もちろん、不磨の大典ということではない。
必要ならば改正するのは当然である。
しかし、その発議の要件は、一般の法律の改正よりも厳しくあるべきだろう。
ちなみに、大日本帝国憲法(明治憲法)も出席議員の3分の2以上を議決の要件としていた。
第73条 将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
2 此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノニ以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス
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