崖っぷちの原電と廃炉への工程/花づな列島復興のためのメモ(218)
敦賀原発2号機の真下に活断層があるという規制委の調査チームの専門家チームの報告を受けて、規制委が22日に直下に活断層があると認定した。
これにより、再稼働は不可能となるから、常識的には廃炉にせざるを得ないだろう。
しかし、現時点では、原電は廃炉を決断していない。
日本原電は、原子力規制委の判断について「断じて受け入れることはできない」とのコメントを発表、徹底抗戦の構えを崩していないが、今後廃炉の決断を迫られる公算が大きい。規制委には廃炉を求める法的権限はなく、廃炉はあくまでも日本原電の判断となるが、保有する他の原発2基も運転再開は難しい。頼みにする電力業界からの支援にも限界があり、崖っぷちに追い込まれつつある。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130523/trd13052300070000-n1.htm
廃炉を強制する法律の規定はないが、再稼働できない施設を維持するのは費用の無駄遣い以外の何ものでもない。
廃炉作業は膨大な時間と費用を必要とする。
http://www.ne.jp/asahi/ma/ru/energy/hairo.html
未だ十分に経験が蓄積されていないので、時間や費用は明確には分からないが、およそ30年くらいの時間と5,000億円くらいの費用を要するらしい。
しかし問題は、原電が、廃炉に伴い発生する放射性廃棄物の処分地を確保していないということである。
原発を解体すると、さまざまなレベルの放射性廃棄物が一基当たり二万トン前後発生する。
特に問題なのが制御棒や炉心部など放射線量が高い部材で、地中で三百年管理することになっているが、原電は「処分地は電力業界全体で検討している。現状では決まっていない」と回答した。
商業原発として国内で初めて廃炉作業に入った原電東海原発(茨城県東海村)でも、処分地がない問題で、二〇一四年度から始める予定だった原子炉本体の解体が遅れる恐れが出ている。
同様の問題は、廃炉作業中の中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)でも持ち上がっている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013052302000112.html
また、廃炉という事態は、原電の経営状態に決定的な影響をおよぼすと思われる。
敦賀2号機が廃炉措置に移行した場合は原発の設備を会計上の資産として扱えなくなる。
東京新聞2013年5月23日
しかも原電は、基本料金の収入も失うことになり、経営が行き詰まることは必定である。
⇒2012年12月12日 (水):日本原子力発電の公開質問状に対する違和感
原電は、原発による電力を、電力会社に売るというビジネススキームである。
東京新聞2013年5月23日
もちろん、電力各社は最終ユーザーではなく、消費者が電気代を負担している。
そして現況は、電力会社は、発電に貢献していない装置の維持管理費を払い続けているのだ。
それは電力会社にとっては原価の一部であり、電気料金算定の基礎になっている。
理解の得られる話ではない。
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