幻の名車・ミシマ号の復刻/戦後史断章(10)
終戦後の一時期に高性能を誇ったオートバイが三島の地で製造されていた。
ミシマ軽発工業が開発したバイクで、最盛期には年間の生産量が1万台を越えたという。
各種レースでも好成績を収め、「西のホンダ、東のミシマ」と称された。
その名も「ミシマ号」という。
ミシマ軽発工業は過当競争の結果、1954年に倒産。
長男敏之氏により、建設機械メーカー・丸善工業として再生した。
私は前職時代に、同社と縁があって、敏之氏(現会長)にもお世話になったことがある。
同氏は、現在の三島商工会議所の会頭である。
この度、同商議所の本年度事業として、「ミシマ号」を電気バイク化して復刻した。
製造業の新商品開発や技術力向上につなげようと、電気バイクとして復刻した。
食品機械や工作機械、制御板設計などの8事業所が参加し、中古フレームを基に、類似パーツを加工して、8カ月かけて完成させた。
ミシマ号の誕生は一九四八(昭和二十三)年ごろ。「ミシマ軽発工業」創業者の故・諏訪部伊作さんが友人から話を持ちかけられ、航空機エンジン製造の経験をもとに試作した。
・・・・・・
しかし全国で八十社がひしめいたメーカーの過当競争に敗れ、五四年に倒産。別会社が三年ほどミシマ号を生産したが、製造は通算で十年に満たなかった。
ミシマ号は地元の製造業者の間で語り草だった。敏之さんの胸に復刻への思いはあったものの、図面もなかった。ある時、三島商工会議所の関係者が、人づてに岩手県二戸市のオートバイ愛好会でミシマ号を保存していると聞き、丸善工業が二〇〇八年に借り受けた。
昨年七月、復刻プロジェクトをスタート。敏之さんが会頭を務める商議所のメーカーの技術力向上を目的に丸善工業など八社の技術者らは実物を見ながら、部品を加工。電気バイクに見えないようにエンジンの中身をくりぬいてバッテリーを隠し、モーターは工具入れに似せるなどの工夫を凝らした。
復刻ミシマ号は、全長百九十八センチ、幅七十四センチ、モーター出力六百ワットで原付きバイクに相当。最高速度は五十キロ、一回八時間の充電で三十キロ走行できる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013041702000222.html
「ものづくり」は最近人気がないようである。
安倍首相も、楽天の三木谷社長などと親しく、成長戦略に柱としてIT産業を考えているようである。
IT産業は重要であるが、雇用の裾野は狭いのではないか。
やはり「ものづくり」の復興が必要であるように思う。
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