鳥インフルエンザとウイルスの正体
中国で流行している鳥インフルエンザが不気味である。
中国で感染、死者が相次ぐ鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)で見つかった2カ所の遺伝子変異は、致死率が高いH5N1型ウイルスが哺乳類で飛沫(ひまつ)感染しやすくなる遺伝子変異と共通していることが東京大医科学研究所の河岡義裕教授らの分析で5日、分かった。
H5N1型の変異は河岡教授らが哺乳類のフェレットを使った実験で解明したが、生物テロに悪用されると懸念する声が米国内で上がり、1年近く研究が止まった経緯がある。
2カ所の変異が実際にH7N9型の病原性を高めているかは未確認だが、河岡教授は「重症例が知られていないH7N9型で死者が出たことを考えると、哺乳類に感染しやすく、体内で増殖しやすいウイルスが生まれた可能性は否定できない」としている。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130405/bdy13040517570003-n1.htm
鳥インフルエンザとは何か?
Wikipediaには以下のような説明が載っている。
鳥インフルエンザ(英語:Avian influenza, Avian flu, bird flu)とは、A型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる鳥類の感染症である。
鳥インフルエンザウイルスは、野生の水禽類(アヒルなどのカモ類)を自然宿主として存在しており、若鳥に20%の感染が見出されることもある[要出典]。水禽類の腸管で増殖し、鳥間では(水中の)糞を媒介に感染する。水禽類では感染しても宿主は発症しない。
家禽類のニワトリ・ウズラ・七面鳥等に感染すると非常に高い病原性をもたらすものがあり、そのタイプを高病原性鳥インフルエンザと呼ぶ。現在、世界的に養鶏産業の脅威となっているのはこのウイルスである。このうちH5N1亜型ウイルスでは家禽と接触した人間への感染、発病が報告されている(但し、感染者はヒト型とトリ型のインフルエンザウイルスに対するレセプターを有していた。いまのところ、一般の人に感染する危険性はきわめて低い)。ヒトインフルエンザウイルスと混じり合い、人間の間で感染する能力を持つウイルスが生まれることが懸念されている。 将来、それが爆発的感染(パンデミック)になりうる可能性がある。
ウイルスは、物質と生物の間といわれる。
そもそも生物とは何か、あるいは生命とは何か、という根源的な質問に答えようとすると意外に困難である。
生命現象には様々な側面があるが、生命の定義に関わる部分は、次の2つと考えられている。
①代謝:内部における物質交換と外部との物質のやりとり
②遺伝と生殖:同じ型の個体の再生産
そのような性質を持つ最小の単位が細胞である。つまり、生命の最小の単位は細胞であると考えられる。
そして、細胞から構成されるものに生命を認める、というのが一般的である。
山川 喜輝『これならわかる! 生物学』ナツメ社 (2012年7月)
ところが、ウィルスなどは判断が難しい。
ウィルスを生物とするか無生物とするかについて長らく論争があり、いまだに決着していないと言ってもよい。ウィルスは、増殖はするが代謝を一切しない。
ウィルスは代謝を行っておらず、代謝を宿主細胞に完全に依存し、宿主の中でのみ増殖が可能である。
彼らに唯一できることは生物の遺伝子の中に彼らの遺伝子を入れる事である。
厳密には自らを入れる能力も持っておらず、ただ細胞が正常な物質と判別できずウィルスタンパクを増産し病気になる。
これらの違いからウィルスは生物学上、生物とは見做されていない。
生物学者の福岡伸一氏は「ウィルスは生物と無生物の間をたゆたう何者かである」と表現している。
ウィルスの大きさはどれ位か?
細胞と比べたのが下図である。
http://www.newkast.or.jp/innovation/archives/researches/yokoyama_project.html
細胞(動物)の直径は、約10~20μm、腸菌等のバクテリアは、約1~2μmに対し、ウイルスの大きさは、約30~100nmで、細胞に比べてウィルスは、はるかに小さい。
私たちは未だよく分かっていない環境の中にいることを、改めて感ずる。
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