クーペリナ化石の国内初発見-栃木県はテキサス州の近くだった?
浅学にして知らなかったが、クーペリナという生物がいたらしい。
2枚の殻を持ち、太古の海底にすんでいたという無脊椎動物である。
その化石が、栃木県佐野市で、日本で初めて見つかったというニュースである。
栃木県佐野市葛生化石館は2日、葛生地区の石灰岩地層から、約2億7000万年前の古生代ペルム紀に生息していた腕足動物の一種、クーペリナ属の化石が見つかったと発表した。
化石館によると、クーペリナ属の化石発見は国内では初めて。1960年代には米テキサス州西部でも発見されており、化石館は、葛生一帯がかつてテキサス州近くにあったとする説を補強する発見としている。
佐野市葛生化石館によると、腕足動物は古生代に繁栄した海の生き物で、2枚の殻がある。貝にも似ているが、それぞれの殻の大きさが異なる。その中で、クーペリナ属は熱帯性の浅海に生息したとされ、大きさが微小であるのが特徴だ。
昨年夏頃、化石に詳しいマニアが石灰岩の塊を化石館に持ち込み、田沢純一・新潟大名誉教授の協力を得て調査を進めてきた。その結果、塊から計13個体を発見した。大きさは約2~2・5ミリだった。
・・・・・・
葛生地区の石灰岩地層からは多くの化石が見つかっている。一帯は古生代ペルム紀には赤道付近にあり、生物が多い温暖な小島だったとされる。ただ、中国大陸近くだったなどとする説もある。化石館の奥村よほ子学芸員は、「今回、テキサス州西部と同じクーペリナ属の化石が見つかったことで、小島がテキサス州の近くにあったとする説の補強材料になる」と説明した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130403-OYT1T00393.htm
地球科学のプレートテクトニクス理論の概要は次のようである。
液体のマントルの上に浮かぶようにして地殻が存在する。
http://www.jma-net.go.jp/sapporo/knowledge/jikazanknowledge/jikazanknowledge1_1.html
地殻は地球の表面で十数枚に別れている。プレートといい、その上に大陸が乗っている。
液体のマントルは非常にゆっくりとではあるが、対流運動をしており、その動きにつれてプレートもほんの少しずつ移動している。
数万年の時間で見れば、大陸も動いているのである。
1960年代後半以降に発展した新しい地球科学では、地球の表面が、何枚かのプレートで構成され、このプレートが、対流するマントルに乗って互いに動いていると説明される。
東日本大震災をもたらしたのも、プレート間の歪みである。
http://japanshielder.iza.ne.jp/blog/entry/2335472/
http://pics.livedoor.com/u/nandeya_member/8182971
プレートテクトニクスは現在の定説と言っていいだろう。
私は、大学時代に、竹内均、上田誠也『地球の科学―大陸は移動する (NHKブックス 6)』(6404)を読んで、こんなに面白い学問分野があるのか、といささか興奮したのを鮮明に覚えている。
⇒2011年7月15日 (金):日本人はムー大陸から来た?/やまとの謎(36)
しかし、頭では理解していても、栃木県がテキサス州近くにあったと説明されて、すぐにはピンとこない。
熱心なアマチュアは、岐阜県高山市の化石研究家、三宅幸雄さんという人だが、その功績に拍手を送りたい。
大学教授などの専門家は、細分化された分野に過剰に特化しているのではなかろうか。
そのため、東京大学地震研究所の研究グループが立川断層について、コンクリート構造物とみられる跡を誤って「活断層を確認した」するようなミスを犯すことになる。
「催眠術にかかってしまった」と弁明していたが、「催眠術?」というのが素人の感想ではないだろうか。
むかし、梅棹忠夫が「アマチュア思想家宣言」という文章を書いたことがある。
梅棹のアマチュア精神こそが、彼の飽くなき探求心の源だったのではなかろうか。
⇒2011年7月31日 (日):アマチュアリズム/梅棹忠夫は生きている(4)
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