東電の当事者能力の欠如/原発事故の真相(66)
東京電力福島第一原子力発電所の地下貯水槽から汚染水が漏出している問題で、移送先でも漏出していることが分かった。。
福島第1原子力発電所の地下貯水槽から放射性物質に汚染された水が漏れていた問題で、移送先の貯水槽から新たに汚染水が漏えいし、高濃度の放射能を検出したと発表した。東電は同日、移送を停止した。
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東電は6日未明、地下貯水槽からの漏えいを発表。8日には広瀬直己社長が茂木敏充経済産業相を訪ね、1)第2貯水槽の水は第1と第6に移送、2)第3の水は水位を低下させる──などの緊急対策をまとめたばかり。今回、移送先の汚染水漏れを受けて9日に緊急会見した東電原子力・立地本部の尾野昌之本部長代理は「地下貯水槽の信頼性が落ちていることは反論のしようがない」と弁明した上で、漏えいの原因については遮水シートに穴が開いた状態の可能性を挙げながら、「まだどうこう言えない」と話した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93802T20130409
東電は、当面の対策として、「いまの優先は第1、第2地下貯水槽の水をすべて他に移送して使用停止すること。7つある(地下貯水槽の)うち、使っていない第5、第6も使うことを検討する」などと説明している。
しかし、事故処理を東電主導のままで行っていいのだろうか?
東電は先月20日ごろには、貯水池の水位がじりじり下がり、池の遮水シートの近くで微量の放射性物質も計測しながら、水漏れの予兆を見逃していた。
東電の資料によると、問題の貯水池の水位は三月十日前後から不安定になり、二十日ごろには明らかな下降線をたどった。今月五日の公表時には、最高値だった時より0・5%下がっていた。
東電は遮水シートの内外で放射性物質の濃度も測っている。これまで計測されなかったのに、二十日には、微量ながら放射性物質を計測していた。
二つの小さな異変を「水漏れの予兆」と疑うべきだが、東電は逆に、水漏れを否定する方向で調査を進めていた。その根拠としたのが塩素濃度だ。
シートの外側では、処理水に含まれる塩分を検知する塩素濃度も常時、計測している。水が外に漏れていれば上昇するはずの外側の値が、二十日の時点では大きな変化はなかったことから、このときは「水漏れはない」という判断に傾いたという。
東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は七日の会見で「あらためて整理すると(水位の低下を)確認できるが、日々の作業で認識するのは難しい。危機意識が足りなかった」と述べた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013040802000118.html
水位にしろ、放射性物質の濃度にしろ、測定データがあるにもかかわらず、見逃していたというのは、どういうことだろうか?
水位が低下し、過去に測定されていなかった物質が測定されたのなら、通常は「?」と思うはずである。
何の疑問も持たなかったとしたら、問題意識がなさ過ぎる。
要するに、当事者意識がない、ということだろう。
気がついていて、隠蔽しようとしたのなら、もっと悪質である。
世の中には、おおやけになることなく闇から闇へ消えていく情報があるだろうと思う。
まさかとは思うが、しばらく隠蔽していれば、「そんなことがあったのか」で済んでしまうかもしれないのだ。
汚染水は400トン/日出てくる。
容量の問題で地上にある貯水池だけでは足りない。
事故がまったく「収束」していないことは、冷却し続けるためのシステムが完成していないことからして明らかであろう。
使用済み燃料といえども、冷却が必要という意味では現役なのだ。
先日は、ネズミ一匹で停電事故である。
⇒2013年3月20日 (水):福島第一原発の停電事故/原発事故の真相(60)
今回の漏水事故の原因箇所も特定できていない。
線量が高く、確認作業ができないのだ。
もはや東電に事故処理の当事者能力があるとは思えない。
そもそもレベル7という最悪の原発事故を起こした失敗企業であり、債務超過企業でもある。
すみやかに破綻処理をして、しかるべきリーダーの下で今後の措置を講ずるべきではないのか。
⇒2012年7月27日 (金):筋の通らない東電の値上げ/花づな列島復興のためのメモ(118)
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