福島第一原発の汚染水は他に対策がないのか?/原発事故の真相(68)
土曜日(4月)の朝、関西地方の人は肝を冷やしたのではないだろうか。
震度6弱の地震が、05時半過ぎに発生した。
1995年1月の阪神淡路大震災の時と似たような時間帯のはずである。
私は地震発生時には日本にいず、第一報はクアラルンプールの空港で、新聞記者らしき人の質問で知ったので、臨場感はないのだが。
住宅の損壊は1200戸を超え、大阪管区気象台によると、最大震度3の余震が16回続いた。震源から遠く離れた場所でも高層ビルなどを大きく揺らすことがある「長周期地震動」も観測。気象庁は洲本、淡路両市について強い順に4~1の4段階中、3番目の強さの「階級2」を発表した。
淡路市では、市役所駐車場や専門学校のグラウンドで液状化とみられる現象により水や泥が噴き出した。津名漁港付近では約10センチの地盤沈下も起きた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130414/dst13041401030000-n1.htm
肝を冷やしたのは関西人だけではない。
福島第一原発事故の現場は、未だに混乱している。
何よりも相次ぐ高濃度汚染水の漏出が止まらない。
東京電力福島第1原発事故現場で起った汚染水漏れで、廣瀬直己社長はきのう10日(2013年4月11日)、地下貯水池の使用を全面的に断念すると発表した。ポリエチレンを主とした貯水池の造りそのものが適当でなかったということらしい。
専門家によると、水漏れを起こした貯水池は普通のゴミ処理場と変わらない造りだった。「必ず漏れるものだから、それを高濃度汚染水に使うのははじめから間違い」(瀬戸昌之・東京農工大名誉教授)という。
http://www.j-cast.com/tv/2013/04/11172880.html
今頃何を言っているのか。
必ず漏れる構造の貯水池を高濃度汚染水の貯水に使うとは!
汚染水は400トン/日出てくる。
容量の問題で地上にある貯水池だけでは足りない。
⇒2013年4月 9日 (火):東電の当事者能力の欠如/原発事故の真相(66)
東電は、汚染水を入れるための貯水タンクを増強中であるが、綱渡りの状況で、計画に余裕がない。
東京新聞2013年4月12日
高濃度汚染水の処理ができなくなる非常事態用の移送先タンクの7割がすでに満水だという。
3割でどれくらいもつのだろうか?
東京新聞2013年4月14日
容量約一万トンと、小学校のプールにすると二十杯分の非常用タンクは、4号機南側の高台にある。高濃度汚染水はおびただしい放射線を放つため、タンク本体は地中に埋め、内部に水素がたまらないよう排気する配管も備えている。
原子炉建屋地下は、毎日四百トンのペースで高濃度汚染水が増えている。非常用タンクは、除染装置が使えなくなり、あふれそうになった場合、緊急に移送するため造られた。
東電は、昨夏の時点では「このタンクの大半は必ず空けておく」と本紙の取材に答えていた。その後、除染装置がフランス製の一系統のみから、米国製と日本製が加わって三系統に増え、長期にわたり汚染水処理が途絶える事態は起きないと判断。処理後の水をためるタンクが乏しくなってきたこともあり、一万トンのうち七千二百トンを処理水の貯蔵に使い始めたという。
当初の空き容量一万トンがあれば、万が一の場合でも一カ月近くは余裕がある。しかし、現在の容量は三割弱の二千八百トンにまで減っている。これでは一週間分の除染停止しかカバーできない。
東電の担当者は「現在、建屋地下の汚染水の水位は十分低い。除染装置が三つとも使えなくなったとしても、建屋内に空き容量があるため、一カ月ほどは大丈夫」と強調する。
ただ、三月には仮設電源盤にネズミが入り込んで同時多発的な停電が発生。使用済み核燃料プールの冷却のほか除染装置の一つも停止した。
さらに現在、発生中の地下貯水池の水漏れ事故で、池の水を全て地上タンクに移すことになり、タンク事情はさらに悪化。もし増設が追いつかなければ、除染装置自体は動くのに、処理した水の行き場がないため稼働できない事態も十分あり得る。こうした状況が長引けば、建屋地下の高濃度汚染水がまた海に漏出する恐れが出てくる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013041402000142.html
非常用タンクの容量は、言ってみれば治水ダムぼ容量のようなものだろう。
空けておいてこそ、いざという場合に機能する。
その容量を平時に使うということは、非常時には使えないということだ。
東電は汚染水対策として、以下を考えているという。
東京新聞2013年4月12日
東電の汚染水処理計画は、次から次に破綻している。
何か他に方法がないのだろうか。
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