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2013年3月16日 (土)

TPP交渉参加の覚悟/花づな列島復興のためのメモ(200)

安倍晋三首相が、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加を正式表明した。
菅元首相が軽躁に、「平成の開国元年」と称してTPPへの参加を表明したのは、2011年の正月のことであった。
⇒2011年1月 5日 (水):綱領なき民主党の菅VS小沢の不毛な争い

以来、2年以上経過したが、未だによく分からないというのが正直な感想である。
交渉参加については、当然立場によって評価が異なるだろう。
政府の試算によれば、日本のTPP参加による経済効果は次のようである。

 プラスの効果は、日本の関税撤廃で安い農産品などの輸入が増えることによる消費の拡大効果が3兆円(0・61%)と最も大きい。他のTPP参加国の関税撤廃で日本の工業品などの輸出が増える効果は2・6兆円(0・55%)と見積もった。このほか、日本への投資拡大などの効果が0・5兆円(0・09%)あるとみている。
 一方、農林水産業の生産額が3兆円程度減ることなどで、GDPに与えるマイナスの効果を2・9兆円(0・6%)と見積もった。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130315-OYT1T01094.htm?from=ylist

差し引きすると、実質国内総生産(GDP)を3・2兆円(0・66%)押し上げる効果があると見込んでいる。
まあ、政策はトータルの効果が大きいことが必須条件であるから、このような試算を行い、その結果を公表することはいいことだろう。
問題は、プラスとマイナスの帰属が異なっているので、その間の調整を具体的にどうするかが問題である。

交渉はこれから始まるのだから、結果は分からない。
しかし、現時点で明らかなことは、農林業などの第1次産業にマイナスが発生し、工業すなわち第2次産業などにおいてプラスの発生が見込まれるということである。
当然産業構造の変化圧力として作用するであろう。

安倍首相はコメなどは断固として守ると決意を表明したが、相手のある話であり、思惑通りにコトが運ぶかどうかわからない。
というよりも、今までの結果を振り返ってみれば、日本が有利に交渉を進められるのは疑問であるというべきであろう。

産業構造の変化を促進すべきか、あるいは抑制すべきか?
一般論としていえば、関税障壁によって保護されているような産業が淘汰され、逆に発展が阻害されている産業が伸展するのは良いことであろう。
しかし次の点には留意することが必要であろう。

第一は、急激な変化は社会的混乱を招くことである。
マイナスとなる産業は、主に東日本大震災の被災地域と重なるのではないか。
ただでさえ、東日本大震災で疲弊している地域にさらなる打撃が加わることは致命的ではなかろうか。

第二は、産業の非経済的側面の評価である。
コメなどの食糧は、生命にかかわるものである。
値段だけでは評価しきれない。

また、いわゆる社会的機能をどう考えるか。
たとえば、農地には、雨水の調節機能や景観の形成等の経済評価が難しい機能があるのは確かであろう。
これらの機能は、ムリに経済評価をしようとすると、こじつけのようなことになる恐れもある。

TPP交渉にはこれまでに米国、カナダ、豪州、ペルー、マレーシアなど11カ国が参加している。
当然既に決まったことについては尊重せざるを得ないだろう。
わが国はアジア太平洋地域の自由貿易圏に加わることになるが、通商目的を主とする広域経済協定は事実上初めてである。
新たなステージに移行するわけであるが、そこで発生する不公平は局限しなければならない。

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