国会は違憲状態をいつまで続けるのか?/花づな列島復興のためのメモ(197)
昨年12月に行われた総選挙について、前日の東京高裁に続き、札幌高裁が違憲判決を出した。
最高裁が違憲状態と判断した「一票の格差」を是正しないまま実施された12年12月の衆院選は違憲だとして、札幌市の有権者が北海道3区(札幌市白石、豊平、清田区)の選挙無効を求めた訴訟で、札幌高裁(橋本昌純裁判長)は7日、小選挙区の区割りを「違憲」と判断した。一方で、実際に選挙を無効とした場合の影響の大きさを考慮し、「事情判決の法理」に従って選挙自体は有効とした。
格差が最大2.43倍だった先の衆院選を巡り、二つの弁護士グループが全国の高裁、高裁支部に起こした計16件の訴訟のうち、判決ついて違憲判決を出し、は東京高裁(6日)に続き2件目。東京高裁も同様の「違憲」判決を出していた。
http://mainichi.jp/select/news/20130307k0000e040236000c.html
まあ、違憲判決は「想定内」のことであった。
最高裁大法廷で、2010年7月の参院選、2009年の衆院選について、違憲判決を出していたからである。
⇒2012年10月18日 (木):永田町に繁殖するシロアリを退治せよ/花づな列島復興のためのメモ(151)
両院ともに違憲という状態で解散を行った野田政権の責任は重い。
この総選挙は、小選挙区制の欠陥がくっきりと表れた選挙でもあった。
⇒2012年12月17日 (月):総選挙の結果をどう見るか?/花づな列島復興のためのメモ(175)
想定された違憲判決ではあるが、「事情判決の法理」というのはどういうことだろうか。
毎日新聞の解説を見てみよう。
行政事件訴訟法は、行政処分が違法でも、取り消すと公益を著しく害すると裁判所が判断した場合、「事情判決」によって取り消し請求を棄却できると定めている。公選法に基づく選挙訴訟にはそのまま適用できないが、「1票の格差」を巡る訴訟では過去に2度、最高裁が違憲と判断した場合でも、選挙を無効とする影響の大きさなどを考慮し、事情判決の法理(法の原則的な考え方)に従い、選挙自体は有効としてきた。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130307ddm001010035000c.html
選挙を無効とすることは、公益を著しく害するということだろう。
しかし、選挙で圧勝した自民党政権は、さっそく憲法改正の方向性を明確化している。
⇒2012年12月18日 (火):違憲状態で勝利して改憲とは?/花づな列島復興のためのメモ(176)
まったくブラックジョークのような話であるが、安倍内閣の世論支持率は高い。
「事情判決の法理」は行政事件訴訟法が根拠だという。
まったく社会正義とは何か、ということを考えざるを得ない。
国会が両院ともに違憲状態であり、その違憲状態を放置したままで行われた選挙によって、改憲までも行われようとしてるしているのである。
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