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2013年3月 7日 (木)

国会は違憲状態をいつまで続けるのか?/花づな列島復興のためのメモ(197)

昨年12月に行われた総選挙について、前日の東京高裁に続き、札幌高裁が違憲判決を出した。

最高裁が違憲状態と判断した「一票の格差」を是正しないまま実施された12年12月の衆院選は違憲だとして、札幌市の有権者が北海道3区(札幌市白石、豊平、清田区)の選挙無効を求めた訴訟で、札幌高裁(橋本昌純裁判長)は7日、小選挙区の区割りを「違憲」と判断した。一方で、実際に選挙を無効とした場合の影響の大きさを考慮し、「事情判決の法理」に従って選挙自体は有効とした。
格差が最大2.43倍だった先の衆院選を巡り、二つの弁護士グループが全国の高裁、高裁支部に起こした計16件の訴訟のうち、判決ついて違憲判決を出し、は東京高裁(6日)に続き2件目。東京高裁も同様の「違憲」判決を出していた。
http://mainichi.jp/select/news/20130307k0000e040236000c.html

まあ、違憲判決は「想定内」のことであった。
最高裁大法廷で、2010年7月の参院選、2009年の衆院選について、違憲判決を出していたからである。
⇒2012年10月18日 (木):永田町に繁殖するシロアリを退治せよ/花づな列島復興のためのメモ(151)

両院ともに違憲という状態で解散を行った野田政権の責任は重い。
この総選挙は、小選挙区制の欠陥がくっきりと表れた選挙でもあった。
⇒2012年12月17日 (月):総選挙の結果をどう見るか?/花づな列島復興のためのメモ(175)

想定された違憲判決ではあるが、「事情判決の法理」というのはどういうことだろうか。
毎日新聞の解説を見てみよう。

 行政事件訴訟法は、行政処分が違法でも、取り消すと公益を著しく害すると裁判所が判断した場合、「事情判決」によって取り消し請求を棄却できると定めている。公選法に基づく選挙訴訟にはそのまま適用できないが、「1票の格差」を巡る訴訟では過去に2度、最高裁が違憲と判断した場合でも、選挙を無効とする影響の大きさなどを考慮し、事情判決の法理(法の原則的な考え方)に従い、選挙自体は有効としてきた。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130307ddm001010035000c.html

選挙を無効とすることは、公益を著しく害するということだろう。
しかし、選挙で圧勝した自民党政権は、さっそく憲法改正の方向性を明確化している。
⇒2012年12月18日 (火):違憲状態で勝利して改憲とは?/花づな列島復興のためのメモ(176)

まったくブラックジョークのような話であるが、安倍内閣の世論支持率は高い。
「事情判決の法理」は行政事件訴訟法が根拠だという。

第三十一条  取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
  裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
  終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。

まったく社会正義とは何か、ということを考えざるを得ない。
国会が両院ともに違憲状態であり、その違憲状態を放置したままで行われた選挙によって、改憲までも行われようとしてるしているのである。

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