記号(情報)の要件/知的生産の方法(44)
先ごろ亡くなった山口昌男氏は、記号論の紹介者として知られていた。
⇒2013年3月12日 (火):無類の知の渉猟者・山口昌男/追悼(29)
記号論とは何か?
新明解国語辞典(三省堂)は、「記号」について次のように説明している。
記号
その社会で意志伝達のために使われるしるしの総称。[広義では文字を含み、さらに言語をも含む。教義では文字を除外する]
さらに「しるし」については、次のようである。
しるし
①目印
②抽象的な概念を現す約束・(その種類を代表するもの)として決めた具体的な形のあるもの、符号・紋・記章・合図など
われわれの身の回りには、行動を指示したり、なにかを分かりやすく知らせたりする記号に満ちている。
たとえば、交通信号である。
青(緑)、黄色、赤はそれぞれ進め、注意、停止を意味している。
それぞれはっきり識別できるような色が選ばれている。
この識別できるということが、記号(情報)として機能するための要件である。
バックグラウンドと識別できなければ、そもそも認識できない。
ノイズとシグナルの関係である。
情報の定義は数多くあるが、この可識別性に着目したのが、牧島象二氏の次の定義である。
情報とは、均一なbackgroundの中に、これと区別できる何等かの特徴をいう。ただし、均一とか区別とかは、すべてわれわれの認識の限界内での話とする。
牧島象二『Patternに憑かれて』牧島象二先生記念会(1969)
国旗も代表的な記号の例であろう。
子ども向けのゲームに国旗ゲームというトランプの神経衰弱のようなゲームがある。
国旗のデザインは結構似たものがあり、特に三色旗の中には、識別が難しいものが少なくない。
上がギニア、下がマリであるが、赤と緑が入れ替わっているだけなので、少なくともわれわれには紛らわしいだろう。
あるいは形を変えた次の国旗。
ペナンである。
もちろん、当事国にとっては識別し易いのであろうが・・・。
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