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2013年3月 5日 (火)

日米安保体制と沖縄/花づな列島復興のためのメモ(196)

今日は啓蟄だそうだ。
冬籠りしていた虫が、大地が暖まり春の訪れを感じ、穴から出てくる頃のことをいうが、確かに空気がなんとなく春の気配だ。
虫に限らず、さまざまな生き物が動き始める季節である。

さて、安倍首相は、基地問題等の沖縄の懸案事項にどう取り組み、どのような解決策を出すだろうか?
オバマ大統領との会談を終えた首相は、「日米同盟の信頼、強い絆は完全に復活したと自信をもって宣言したい」と語った。
民主党政権で失われた信頼感が回復したということだろう。

しかし、当事者である沖縄の見る目は違うようだ。

 同じ一つの事象を見ていながら、見る側の立ち位置によって、全く違って見えることがある。今回のケースはその典型例だ。
 米軍普天間飛行場の移設問題について両首脳は、日米合意に沿って早期に進めることを確認した。埋め立て申請の時期には言及していないものの、これによって3月中の埋め立て申請の可能性が強くなった。
 だが、辺野古への強引な移設作業によって「日米同盟の強い絆が復活する」と考えるのは、あきらかな誤りだ。希望的観測に浸るのではなく、厳しい現実を直視すべきである。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2013-02-24_45701/

「絆」は、東日本大震災によって脚光を浴びた漢字である。
2011年の「今年の漢字」に選ばれたことがその証拠である。
⇒2011年12月12日 (月):今年の漢字は、「絆」

私自身、被災者たちが家族であるいは地域で、さらには地域や国家を越えて助け合う姿にたびたび感動を覚えた。
⇒2011年3月23日 (水):震災を耐え抜いた家族の絆

しかし、「絆」という字は、本来は、犬・馬・鷹などの家畜を、通りがかりの立木につないでおくための綱のことである。
したがって、しがらみや呪縛、束縛など、負の意味で使われていたという。
それが、人と人との結びつき、支え合いや助け合いを指すようになったのは、比較的最近であるというのが辞書の解説である。

まさに、「同じ一つの事象を見ていながら、見る側の立ち位置によって、全く違って見えること」の典型だろう。
沖縄は、日米安保体制を維持していく上での基地負担を集中的に担ってきた。
米国が人(軍隊)を提供し、日本が物(基地)を提供する「人と物の協力関係」において、日本側の負担が沖縄に過重にしわ寄せされてきたのは事実である。

「最低でも県外」とは、2009年衆院選前の鳩山由紀夫代表の米軍普天間飛行場移設問題での発言として有名である。
この件では、鳩山氏が1人ピエロじみた役回りをした印象が強いが、言葉に責任を負う覚悟のない民主党全体の問題であろう。
⇒2013年3月 2日 (土):民主党は再生できるか?/民主党とは何だったのか(9)

防衛省は米軍普天間飛行場の移設を予定している名護市辺野古地域の漁業権を持つ名護漁業協同組合に、埋め立てへの同意を求める文書を提出した。
しかし、県内では県議会、全市町村議会が県内移設に反対を決議している。
また、全首長、議長らが上京して安倍晋三首相宛てに普天間の閉鎖、撤去を求める「建白書」も提出している。
こうした状況で、手続きが進められるであろうか。

仲井真知事も、政府の同意申請手続きに不快感を示している。
沖縄県民の意向を無視して移設作業を強行すれば、沖縄社会全体に大きな亀裂が生まれ、社会的混乱を引き起こすことになるだろう。
沖縄は、日本から離れていく可能性もゼロではない。
日米安保体制をどういう枠組みで維持していくのか、発想の転換が必要なような気がする。

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