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2013年3月15日 (金)

認知症の原因としての情報不全/知的生産の方法(42)

歳をとると、誰でも認知能力が衰えてくる。
しかし、肉体的な能力は20歳頃、記憶力については40歳頃にピークを迎えるが、語彙や日常的な問題解決能力は75歳までは増え続けるともいわれる。
加齢と認知能力の関係は、下図のように説明されている。
Photo
http://www.nikkeibp.co.jp/aging/article/report2011/20120402/08/01.html

この図でも短期記憶能力は、50歳ごろから急速に低下していく。
もちろん、個人差があることは個人的な体験でも分かることである。
一般に比べて病的に進行したのがいわゆる認知症であろう。

私が体験したのは、妻の昔からの知人の例である。
妻に対して、「お母さんはどうしている?」と聞く。
妻が「もう死んだよ」と答えると、「そうかねえ」といって納得する。
しかし、ものの2~3分くらい経つと、また同じ質問をして同じ答を聞き、同じように反応する。
私の子供の名前などは覚えているから、不思議と言えば不思議である。

この場合は、別に他人に迷惑をかけているわけではないが、次のような話もよく聞く。
自分の大切にしているもの、たとえば財布、をしまい込んで、その場所はおろか、しまい込んだことすら忘れてしまう。
本人は、きっと盗難にあったのだと妄想する。

悲劇的なのは、このような「もの盗られ妄想」は身近な人に向けられやすいことである。
家族が犯人呼ばわれされ、それを叱責すると、その経緯は忘れてしまうから、なぜ叱責されたかが認識されないで、攻撃されたという風な印象が残る。
介護者に対しても同様である。
介護者に対して叱責など嫌な思いをした印象が積み重なると、介護者に「もの盗られ妄想」が向けられる。

介護者が嫁で、被介護者が姑であることは多いであろう。
ただでさえ問題が起きがちな嫁姑である。
かなりやっかいな事態になるのは、容易に想像できる。

「週刊朝日」2013年3月15日号に、「新名医の最新治療 Vol270」として、『認知症の周辺症状』という記事が載っている。
同記事に、聴力が弱くなって、上記のような症状が現れた例が示されている。
聴力が弱くなって、入ってくる情報が部分的になると、状況の理解も低下し、思い込みも激しくなる。
結果として、「もの盗られ妄想」が昂進した。
しかし、聴力改善により症状は劇的に改善されたということである。
認知症は記憶能力の低下によるというだけではなく、的確な状況判断を損なう情報取得能力の低下によるものでもある。

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