原発事故による故郷喪失/原発事故の真相(62)
東日本大震災は、原発事故を起こしたことにより、戦後最大の危機的事態となった。
その状況は未だに「収束」はしていない。
ネズミ一匹が引き起こした停電で、使用済み燃料プール冷却システムが停止した。
⇒2013年3月20日 (水):福島第一原発の停電事故/原発事故の真相(60)
原因箇所とされる配電盤が、トラックの上に設置された仮設のものであるという。
「2年以上経っても仮設か?」という疑問が湧くが、高線量の瓦礫が本格的な設備を設置する作業を妨げているのだという。
使用済み燃料にせよ、瓦礫にせよ、汚染水にせよ、放射能の発生は長期にわたる。
また、その健康被害もまた、急性のものだけでなく、時間を経過した後に発生する健康被害のことが問題であるのは、被爆国であるわれわれが十分に認識しておくべきである。
「直ちに健康に影響がない」ことだけでは、不十分なのである。
東日本大震災で自宅を離れざるを得なくなった被災者は、現時点で未だに15万人異常に上るといわれる。
うち、福島県内では11月6日現在、仮設住宅に3万25763人、借り上げ住宅に5万6806人が避難するなど計9万3864人が自宅以外で生活を送っている。
原発事故により、県内11市町村に警戒区域などの避難区域が設定された。避難区域の現状は【図】の通り。田村、南相馬、楢葉、川内、飯舘の五市町村では再編が済み、大熊町は10日に帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の三区域に再編された。残る町村でも放射線量などに応じて再編が進められている。
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2012/12/post_5761.html
飯舘村のように方角が風下に位置していたため、飛び地のように高線量の地域もある。
これらの地域が安全を取り戻すには、どれくらいに時間が必要であろうか?
放射能の半減期からして、一朝一夕ではないだろう。
新たな故郷喪失である。
わが国は、戦後経済の高度成長期の大勢の人が故郷を捨てて、仕事のある場所に移った。
われわれの世代ではごく当たり前のことであった。
しかし、少なくともそれは自発的な選択としてあった。
原発による故郷喪失とは全く質が異なる。
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